第20話 神久和樹の誤算
★神久和樹(side)
雪が新堂龍星に接触してから一週間が経った。
「チッ!まだなのかよ雪はよぉ!」
あれから一週間だぞ?体でもなんでも使って誘惑して来いって言ったのに何してんだよ!!!
連絡をしてももう少しかかるっていうし真面目にやってんのか?
多少は待つと思っていたが長くても三日あれば雪なら何とかなると思っていたが過大評価だったみたいだな。
「はぁ、一刻も早くあいつが持つアイテムを使って注目を浴びないといけないのにさ!」
俺は元々どんな手を使ってでも高校を卒業するまでには冒険者ランクを少なくともBランクまで上げないといけないと思っていた。
高校生でCランクも凄い方だが、俺は神久和樹だぞ?そんなので満足できるわけがない。
アイツが高校一年生でSランクなんて勿論納得のいく事じゃないし。絶対にアイテムを使用してSランクまで行ったのは間違いないだろう。
だったら才能のある俺があいつのアイテムを使えば俺も高校生でSランクに行けるだろう。
「高校生でSランク……」
考えるだけでぞくぞくするぜ。
俺がSランクになれば、正直同じSランクの新堂龍星は若干邪魔になるがまぁ、俺の下に着くなら精々良いように使ってやろうか。
そんな事を考えている時だった。
ドアが開いていつもならもっと遅くに帰って来る父さんが帰って来た。
父さんを見ると凄くイライラしている様子だった。
「クソッ!!!」
父さんは帰って来ると同時に机を強く叩いた。
「父さん?何があったの?」
「和樹居たのか……まぁ、丁度良い。お前は暫く何も問題を起こすなよ!女遊びも絶対にな!」
父さんがこんなに怒っている姿を見るのは初めてだ。マジで一体なにがあったんだ?
「女遊び位は大丈夫でしょ?何があったのか知らないけどさ。いつも通りバレなきゃ問題ないし」
「お前は俺を潰す気なのか!!!」
俺が言った事に対して父さんは怒鳴ってそう言って来た。
「と、父さん一体何があったんだよ……」
「はぁ、済まないな。でも今は本当イライラしてるんだ。神久が隠蔽してきた事が何故か外に漏れてニュースにまでなってるんだよ!!!」
「え?でも隠蔽は完璧だったんだろ?何で今更?」
「それが分かんないからイライラしてるんだよ!!あんな情報が洩れる様な甘い失敗を俺がする訳無いんだよ!!!それも過去の事を事細かくほとんど全部バラされている。こんなのは内部の人が裏切ったとしても情報が洩れ過ぎだ!」
全部って事は父さんや神久が犯罪を犯してきたこともって事だよな……
それってマジでヤバいんじゃ!!!
「どうすんだよ父さん!!それって本当にマズいんじゃ……何で明るみになったんだよ!!」
「だからそれは今調査中だって!!!大体ここまで全部バレてるんだ。誰かが家に侵入して情報を盗んだとしか思えない!!!」
「それだったら監視カメラの確認をすればいいじゃん!!!」
「監視カメラを家の仲には置かないで欲しいって言ったのはお前だろうが!!!家で監視されているようで嫌だとか言ってただろうが!でもその代わりに警備をやっとていたから侵入するにしても出来るはずが無いんだよ……」
たしかにそうだった……そう言えば家に女を呼ぶためにカメラを撤去して貰ったんだったな。
警備の人にもお金を持たせて父さんには黙って貰ってたし。
「じゃあ、どうやって侵入されたんだよ……」
「分からない。警備の目をくぐって入り込むのは考えづらいし、この家に出入りできる身内がもしかしたら裏切った、もしくは誰かを招いたとしか考えられない……クソ!とにかく良いか!お前は何もするなよ!!!」
そう言って父さんは部屋を出て行った。
「誰かが家に招いた……もしかして俺が家に連れて来た女の誰かが……いやまさかな……」
それにさっきは突然の事で慌てたが、父さんなら何だかんだ言ってどうにかするだろう。今までもそうだったしな。
俺が気にしてもしょうがないから俺はこのまま雪の連絡を待とうか。
神道龍星の事だったら動いても大丈夫だろう。
今回の件とは全く関係無いだろうし女遊びでもないしな。
それに上手く行けば神久からしたら大きなメリットになる訳だしな。
――その次の日。
「こっ……これは一体……」
俺は今父さんにとある書類を見せられていた。
「何か心当たりはあるか?」
その記事には今回神久の情報を流した情報源が光龍ギルドだと言う物だった。
何で光龍ギルドが?もしかして新堂龍星が?いや、でも新堂龍星は雪に任せて……
いや!待てよ?そう言えば雪にしては仕事が遅いし、報告も全然進展がない。
は!そうだ……雪が仮に裏切ったとしたら情報が洩れている事も理解できる……大体俺が家に呼んで仕事を任せたりしていた訳だし。
でも雪が本当に俺を裏切ったのか?雪は俺に従順だったはずだし。
大体俺が父さんに内緒で招いた女性は二桁を超えているし、一度しかあった事ない人も居た訳だし……
昨日は認めたくなかったが少し考えてみたら分かる。どう考えても俺が呼んだ女性が情報を漏らしていたって事は。
でもこれを父さんに言う訳には行かない。
そんな事を言ってしまうと俺がとんでもない事になる。
可能性としては雪の可能性が一番高いが……
「知らないよ……」
「嘘をつくな!!!」
俺がそう言うと父さんは怒鳴って机を両手で思いっきり叩いた。
「え……」
「お前が神久の名を使って光龍ギルドの新堂龍星を脅した事は知ってるんだぞ!!!それにあいつだ!!!お前のお気に入りの女が新堂龍星と仲が良いって調べも着いてるんだぞ!!!」
駄目だ!父さんは確信を持ってそう言ってるのか!
雪が新堂龍星と仲良くしてるのは俺の指示の可能性もある。
いやでも新堂龍星の事は好きにしていいって言われたしそれを……
「でも父さんが新堂龍星の事は好きにしていって言ったじゃないか!」
「ふざけるな!!!どこの世界にトップギルド、それもSランク冒険者を脅してスカウトする奴がいると思うんだ!!!大体お前がお気に入りって言ってたから近くに置くことを許したがどう考えてもあの女が情報を盗んだ犯人だぞ!!どういう管理したらこんな事になるんだよ!!!」
「何で言い切れるんだよ!」
「今回の件で警備員に話を聞いたんだよ!!お前が何人も女を連れ込んでたって事はな!!そしてこの一月で連れ込んだ女は二人でそのうちの一人は既に犯人じゃないと分かっているからあの瀬戸宮雪意外にはあり得ないんだよ!!!今回の件にはここ一月の事までさらされていたからな!!!」
……ふざけるなよ雪!!!!俺がどれだけ面倒を見てやったと思ってんだよ!!!
恩を仇で返しやがって!!!
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