第18話 神久への攻撃

 先日話し合いを終えた俺達は神久に対して攻撃する為の準備をしていた。


 と言っても高校生である俺に出来る事は何も無いんだけどね……瀬戸宮先輩みたいに頭が良ければ別だけど。

 そう言った知識はほとんどないからこういうのは父さんと母さん、そして瀬戸宮先輩に任せた方が確実だ。


 唯一俺に出来る事と言ったら神久のスキャンダルを公表した後に世間に説明する役だ。

 一応おれは有名人であり自分で言うのもあれだけど今話題の人物と言っても良い。

 今回神久のスキャンダルを表に出したのはホワイトギルドとパートナーギルド契約このタイミング契約した光龍ギルドだと皆思うだろうしね。

 

 そんな訳で俺は配信で瀬戸宮先輩と今回の件を説明する役だ。

 そうする事によって神久への追加ダメージを加えられる。


 それとこの数日で神久及び神久ギルドの悪事ほとんどの裏が取れたので後は時間の問題だ。

 被害者が分かれさえすれば意外にも簡単に情報を得る事が出来たとの事だった。

 

 そして攻撃する方法は日本で一番ではないが有名な新聞社に協力してもらう事に成功したらしい。

 ていうかそこの社長と父さんは幼馴染で滅茶苦茶仲が良いんだよね……そんな訳で神久との繋がりも絶対にない。

 まぁ、そんな感じで攻撃する予定だ。

 

 そんな新聞社が悪事を全て公表すれば流石の警察も動かざる負えないし、他の企業も下手に神久に手を貸す事も出来ないだろう。

 その上、被害者たちにも光龍ギルドが神久の事を攻撃すると言ったら協力してくれるって人が多く、情報を公表した後皆も告発しに行ってくれるとの事だった。

 まぁ、光龍ギルドの後ろ盾があれば安心も出来るし、一人じゃなくて多数の人間が動くわけだから被害者も勇気が出たみたいだ。

 それにそうする事によってこちらで確認出来ていない他の被害者たちも声をあげてくれるかも知れないしな。

 ホワイトギルドに居で脅された人、事実を捻じ曲げられて潰された企業の人、性的な被害にあった女性やそれで自殺した家族その他にも様々な人が声を上げてくれた。


 そこで俺が追い打ちをかける為に配信をして事実を直接世間に広めれば後は時間の問題だ。

 そこまでやっちゃえば考えにくいが例え警察と神久が繋がっていても世間は神久を信用しないだろう。

 そうなればギルドの依頼もなくなるし企業の方も他企業の協力を得れなくなるだろう。そんな事したらその企業まで信用を怪しまれるだろうからね。

 

 そんな訳で光龍ギルドはきっかけを作るだけで本当に神久を潰すのは世間という訳だね。

 警察がどこまで信用出来るか分からない以上こうするのがベストらしい。

 神久には証拠がないだけで元々世間的には評判自体良くなかったしね。

 その上光龍ギルド比較的評判の良いギルドだから尚更ね。


 ――それから一週間後遂に神久の事が記事になった。


「うわースゲーなコレ……」


 昨日記事が出たのだが一日経った今凄い事になっている。

 被害者が多すぎて警察も本気で調査に回っているみたいだ。

 マジで良くこんなに被害者がいて隠し通せたよな……改めてびっくりするわこれ。


 俺以外にも身内が被害にあった配信者もいたらしく配信で暴露してるし、もはや俺が配信しなくても良いレベルで神久は世間から大バッシングを受けている。

 神久の会社の株価も超下がってるらしいしこれはもはや時間の問題ってかもう既に再起不能だよなコレ……

 まだそこまで行っていないが、この様子だと神久はちゃんと捕まるだろうしな。


 ――更に一週間後俺は母さんと瀬戸宮先輩で話していた。


「流石に捕まったわね」

「そうね、あそこまで話題になったら当然ね」

「でもまさか警察まで神久の手が伸びてるとは思わなかったよ」

「そうですね……私もびっくりです」


 三日前神久の逮捕が世間に公表されたのだが、警察の偉い人も神久と繋がりがあり事件の証拠隠滅に協力していたらしい。

 流石に今回はここまで大きくなってしまったので警察も全勢力を費やして調査に回ったため事実として確認できたみたいだ。

 その他にも他三社の悪行も一緒にバレてしまってそこの社長も逮捕されたとの事だった。

 それ以外にも手を貸している企業だったり偉い人はいるんだろうけど今回はそこまでだったらしい。

 神久は必死に抵抗して他の企業だったり偉い人に助けを求めたらしいが、誰一人として手を取ってくれる人は居なかったとの事だ。

 まぁ、それは当然だよな、そんな事したら普通に道連れになるのは目に見えてるしな。


 神久和樹については未成年って事もあり逮捕はされなかったが、今では学校でも見下される存在となっている。

 今まで調子に乗ってたから当たり前と言えば当たり前だな、好き勝手し過ぎたせいで周りから滅茶苦茶言われてるし世間でもアンチが多いので神久和樹は今では教室の隅でびくびくしているらしい。

 まぁ、親の力で威張ってるだけの自己中心的人間なんてお金と権力がなくなったら何も出来ないだろうし当然も末路ではあるよな。これでもマシなほうだと思うしな。


「てかさ、パートナーギルド契約ってどうなったの?」

「それだったら今雪ちゃんのご両親と話し合って進めている途中よ」

「そうですね。本当にありがとうございます。私の両親も凄く喜んでいました」

「良いのよ、雪ちゃんの為だからね」


 かしこまってる瀬戸宮先輩に対して母さんは頭を撫でてそう言っている。

 ちょっと瀬戸宮先輩は迷惑に思ってるんじゃとか思ってたけど瀬戸宮先輩を見る限りそんな感じでもないので良いか。


「それで俺ってやっぱり配信し方が良いの?俺以外の配信者が暴露してたけど」

「そうね、暴露してたって言ってもやっぱり光龍ギルドが率先して今回動いたってのは世間的にもバレてる訳だからね、光龍ギルドの方からも世間に説明する必要はあると思うの」

「やっぱそうだよね」


 まぁ、今回の発端は俺から始まったのもあるし、瀬戸宮先輩も配信に出て一番近くに居た被害者として発言してくれるらしいからな。

 正直神久に対してはオーバーキル過ぎるけどちゃんと説明はした方が良いよな。

 それに配信は俺の両親より俺がした方が話題性も強いし一石二鳥でもあるしな。


「まぁ、雪ちゃんも一緒にしてくれるから大丈夫だと思うわよ。ね!雪ちゃん」

「はい!任せてください光さん!」


 瀬戸宮先輩は母さんのお願いに笑顔でそう答える。

 ていうか最近の瀬戸宮先輩は特に母さんの前だと結構笑うんだよな。

 母さんに凄く懐いているのもあると思うが、長年の苦悩から解放された解放感からくるのかも知れないな。


「でもさ配信でどこまで言って良いの?」

「事実は全部言って良いわよ。どうせ聞かれるだろうし隠しても意味無いからね。神久が潰れて損した人も居ると思うけど流石にここまで事が大きくなったんだからその件で報復しようなんて考えるアホもいないだろうしね」

「そっか。分かった。それじゃあ瀬戸宮先輩もよろしくお願いしますね」

「うん。よろしく龍星君。それと雪ね」

「そうでしたね雪先輩……」


 そして変わった事があるとすればここ最近で瀬戸宮先輩が俺に対して敬語を外したかつ雪先輩と呼んでと言って来たことだ。

 俺はまだ慣れていないんだけどな。

 俺の記憶だと最初の頃に敬語がデフォルトって言ってませんでしたっけと聞いたら、その時と今では状況が違うからと言われた。

 聞けば神久から解放されて本人も自分でびっくりする位気分が軽くなって気分が良いからとの事だった。

 まぁ、仲良くなったと考えたら嬉しい事だな。


※次回からは神久視点になりますのでストーリー的な進展はありませんがご了承ください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る