台湾人は親日なのか

 台湾は親日国である、というのは多くの日本人が持つ一般的な感覚ではないかと思う。SNSでは台湾を悪く伝える意見をあまり見ない印象がある。現地は日本語が通じるし、日本統治時代の建物が残っている。日本人として親しみを感じる土地だと思う。実際どうなのか、旅行をしての体感では親切である、ということは言える。


 台湾で料理を注文するとき、買い物をするとき、道を尋ねるとき、メモやスマホの画面を見てもらったりカタコトの中国語(在哪里?くらいのレベル)で話しかけた。すると、外国人ともろバレのようで日本人か、と聞き返される。

 台湾の人たちは優しくて、言葉が通じないとわかると一生懸命寄り添ってくれる。自分のスマホを駆使して説明してくれたり、道の分岐点まで連れていってくれたり、この商品はいいよ、と英語で教えてくれたりする。

 おかげで旅行中に困ることは少なかった。非常に外国人慣れしていると思った。


 親日かどうかは他の国の人と同行したわけではないので一概には言えないが、こちらが日本人と分かると明るい顔で日本に関することを聞いてくれたり、一生懸命にカタコトの日本語で話してくれたりする。

 クルーズ観光をして降りるとき、「ウェルカムトゥ台湾!」と満面の笑みで話しかけてくれたおばちゃんがいた。バス停で路線図を凝視していたとき、「どこにいくのか」と声をかけてくれ懇切丁寧にカタコトの日本語と英語で道を教えてくれた女性がいて自分がバスを降りるときにバイバイ、と手を振ってくれた。

 心温まる体験が多かったのは日本人としての役得なのか、基本的に親切なのか、台湾の方は心優しいと感じる。


 九份に近い新北市立黃金博物館は金の鉱山に関する博物館だ。資料館を訪問したとき、戦中の資料の展示があった。日本が連合軍の捕虜を動員してここで強制労働を課していた記録があった。多くの労働者が過酷な強制労働や劣悪な環境による病気で命を落としている。

 戦中の日本統治時代はインフラ整備が進み、発展を後押しした。しかし、各地で抵抗運動もあったことも事実だ。恥ずかしながら私は台湾と日本の関係性の歴史を詳しく知らない。

 旅行情報では親日だと書かれることが多く、それは確かだと感じることばかりだったが、歴史の中では負の側面もあったことは頭の片隅に置いておくのが良いと感じた。


 また、台湾で受けた親切は海外旅行での不安を払拭してくれ、素敵な旅の思い出になるものだった。私はこの親切をどこかで返さなければと思っている。

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