第6話 ゴブリンの殺し方

 どかどか歩いていると、スライムに遭遇。不定形型のモンスターは弱点が分かりにくくて嫌いだわ! だから、ノコギリでまず4つに分けて、それから魔石を見つけたら砕く!


 だいたいのモンスターは魔石が損傷したら大ダメージ。破壊されたら死ぬ。そういう生き物。人間で言うところの心臓みたいなもんだからね。


「ふふん! どうだい!」


 ●変なやり方

 ●草

 ●普通にスライムは半透明なんだから魔石見つけてそこを突いたほうがはやくない?


「でも攻撃を流される可能性があるじゃない。ぼくちん頭いいからその範囲を狭めることに注視した戦い方をするんだよ。ぼくちん頭いいから」


 ●うるさい死ね

 ●草


「ちなみに、スライムの魔石はしょっぱくて苦い!」


 ●?

 ●???

 ●食ったことあんの?


「前にそういうバイトしてたんだち!」


 ●うわー!!!

 ●なんだこいつ!

 ●変なバイトどっから見つけてくるんだよ

 ●この人頭おかしい・・


「まぁそんな話はさておき、あれを見てください! あれはゴブリン! 人型モンスターっすねぇ。人型モンスターってなんか忌避感抱かれてて可哀想だよね。あれを殺せるやつは人を殺せるみたいな。んなわけねーだろ。モンスターと人を混同しちゃう頭が空っぽな人は数多くいます! 可哀想だけど仕方ないよね。育ちが悪いのかにゃ?」


 ●ころすぞ

 ●草

 ●でもぶっちゃけゴブリンの倒し方わかんない


「そうなの? かわいそ」


 ●死なすぞ


「んじゃ簡単な倒し方を教えてあげるね。まず、ゴブリンは総じて初動が右足踏み込みだから、膝が曲がったところで、右膝を踏み倒して、首に蹴り。入れてから、こう……腋をひと突き。ゴブリンは腋に魔石があるからね」


 ●お前人殺したことあるだろ

 ●なんだ今の蹴りのキレ!?

 ●なんで蹴りでヒュンなんて音が出るんですか


「殺したことはないにゃ!」


 ●殺したことは

 ●ことはない

 ●ことはないのかぁ

 ●人にやってたとしたらゴブリンの体格にイチバン近いのは小学生くらいの子供では?

 ●消せ消せ消せ

 ●草


「ずっと高校の頃の同級生と喧嘩してて覚えた技ですよ〜」


 ●そいつ死んでそう


「生きてるにょ。悔しいけど」


 ゴブリンを倒すと、球形飛行ドローンが転移機能を作動させた。


「よし! もっと奥に進むぞ〜! おー! 気合い入れろお前ら! 死ぬぞ!?」


 ●お前うるせぇ!

 ●なんだこいつ

 ●ほんとに変なやつ


「人の悪口はやめて〜〜〜!! 人の悪口で盛り上がるのはやめて〜〜〜!! 人の悪口をコンテンツにする界隈は廃れるからやめて〜〜〜!! 死ね〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


 ●死ね!?

 ●死ね、は悪口じゃないんすか?

 ●配信者はこういう奴のために残された救いの手だから、こういう奴がいるのは当たり前なんだよなあ


 たくさんモンスター殺しちゃうぞ! こんなクソみたいなダンジョンの存在意義がなくなるくらい、殺しちゃうぞ! 俺は配信のプロになるんだ。


「お! トラップの感圧板があります! 踏みます!」


 ●やめろ!

 ●踏みながら踏みますって言っちゃあ、ダメだろ!

 ●おバカ〜!


「ala-la! ここはもしかして裏ボスの部屋かにゃ?」


 トラップ感圧板にこめられていたトラップは、転移の術で、転移した先はそこそこ大きくて広い空間だった。その中心に鎮座ましましておられるのは、大きなミノタウロス。

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