2nd CHAPTER 初配信
第5話 初配信
また同じ場所にかえって来てしまった。
そういえばね。ここだもんね、俺がいっぺんに失った場所ね。ハハ、うーん。笑ってみようかな、と思ってみたけど。あんまり笑いたいって気分にはなれないなあ。
「うん! まぁ、頑張ってればいいことあるさ! 行ってみよう!」
あ、どうも。滝翔太郎っす。高校を卒業してすぐにダンジョン配信者になる準備をして、今日が、初配信! 楽しみでは……まぁ、ないかな!
好きなものはカレー。嫌いなものは寿司と風車。職業は前述の通りダンジョン配信者。最終学歴は高卒。商業高校のガキね。睡眠時間は平均3時間程度。身長は189センチ! その他諸々割愛!
使用する武器は拳と脚。それと、振動ナイフとノコギリ。特別製で、頑張って貯めた金で、作ったオリハルコン製の金。1億かかった。なかなか壊れない俺の武器。
拳と脚は、レッドドラゴンの皮で出来たレザーグローブとレザーブーツで護ってるし、その他の全身はブラックボアの革で作ったロケット砲弾すらものともしない防弾チョッキ!
8億かかった!! 頑張って金貯めたんだぜ〜。精一杯お金貯めてよ〜。精一杯頭下げてよ〜。本当に頑張りまちた! って感じ! んちゃぁ、そういうわけで、いざはつはいちん!
「皆さんやっほー!」
●初配信だ
●かっこいい装備だ
ちなみに配信者は球形飛行ドローン「ポットパイ」と仮面型カメラ「クリーム」で行われる。
ボーイ・クリーム・ポットパイ……ってコト!?
「これからはぼくちんの事は『翼』って呼んでください! 苗字は清水でーす! 合わせて清水翼でーす! 今日は、このメイフル側のえーっとナンバー2024ダンジョンに潜って行きたいと思いまーつ! 借金いっぱいあるので、みなさん、たくさんスパチャしやさい」
●若そうなのに借金いっぱいあるんだ
●ろくでもねぇやつだ
「そう言わないでよ」
コメントはクリームの視界に映される。
「ぼくちんも頑張って生きてきたんだよねん。その結果がこれだけど、ある意味正解の生き方なんじゃねーのって感じ? 知らんけど」
●何歳?
「じゅうきゅーちゃい!」
●うざ
●きも
●草
●若いなぁ……
「老害は若者を『若いなあ』としか思わないらしいっすよ。そうならないようにしないとね」
●なんだこいつ
●こいつのちょっと高めのおちょくるような声嫌いです
●わかる。癪に障る
「高校の頃、みんなに『根暗の声』って言われたんで地声は出したくないんすねぇ」
ダンジョンに入ろうとしたところで、門番員さんに免許証の提示を求められて、ギルドで発行した免許証を渡す。免許証には配信する際のユーザーネームが表示される。表示切替を行うと本名が現れる。そういう仕組み。
「んじゃダンジョン解体ショーの始まりだにゃー!」
腕をブンブン振り回しながら、ダンジョンの中を大きな歩幅で歩いていく。
●警戒心がない……!
●初配信はみんなこんなもんだろ
●同業者の死で命を自覚するんだよな
●この配信で見れる時が来るかな
「ぼくちん命の価値とか一生わからんち」
●だろうね
●普通にドン引き
●その一人称やめろ!
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