第4話 ala-la!

 回転寿司屋の駐車場にて。

 妹が気負いしないように回転寿司にしようぜ、と言ったら清水さんは、微かに笑った。この人いっつも微かに笑ってんだよな。ウル◯ラマンかよ。


「──そう言えば、お兄ちゃん、その風車なに?」

「幸運を呼ぶ風車。魔導具だよ」

「なにっ! 廻れ廻れ!」


 翼は俺の風車に向かって息を吹きかけていたが、回らない。どうやら自然の風でなくてはならないらしい。


「しっかしありがとうございます! 清水さん! いっつも贔屓してくれて」

「いいんだよ。……お前らはあの2人に似てるんだ。……翔太郎、お前は少し嫌だろうが……あの2人はな……昔はたいそう良い奴だったんだ。困ってるやつは見逃せなくて、いつも明るく努める奴等だ。『俺たちが揃えば最強なのさ』なんて言って、2人でこの街を明るく照らしてた」


 お父ちゃんとお母ちゃんは昔からヤバいカップルだったらしい。知らんがな。


「翼は2人の良い所に似たんだなぁ、お兄ちゃんは嬉しいぜ……」


 しみじみと。

 思っちゃうね、本心から。


 悪いところが受け継がれた俺からしたら妹だけでもいい奴に生まれてくれて嬉しいんだよね。だってさあ、悪い奴に生まれたら俺の愛しの妹がかわいそうじゃん!


「今日はたらふく食いな」

「フライドポテトとか頼んでいいんすかぁ!?」

「あたりめーだよお前。回転寿司屋ってのはポテト食うところだよお前。ポテト頼まなきゃ回転寿司に来た意味がないよ、お前」

「そうだそうだ!」

「ハハハ」


 おもしれー人たち。俺この人達好きだなあ。一生この人達と行きていきたいなあ。



 ◆



 2014年8月10日──────

[水沢市メイフル西口向かい]

[回転寿司 ははや]にて

 ダンジョン発生

 1人を除き、全員死亡



 ◆


 風車、廻らずして語らず。

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