第53話 美月との帰り道

※今後の話の都合上、神道慶の誕生日を12月23日から12月3日に変更しました※


「お疲れ様でした!」

「お疲れ様」

「はい。それじゃあお先に失礼しますね」

「うん。今日もお疲れ様。ありがとね」


 金曜日の放課後、俺はバイトが終わり笹沢さんに挨拶を済ませた。


 その後は裏の部屋に行き帰る支度を終わらせた。

 

「よし、それじゃあ帰るか」


 そう思って俺が控室を出るとそこには美月が居た。

 今日のバイトでは居なかったんだけどな?

 俺はそんな事を考えながら美月に話しかけることにした。


「美月?」

「あ!慶、今バイト終わったの?」

「あぁ、今ちょうど終わったぞ。美月はどうしたんだ?今日はバイトじゃないだろ?」

「うん。お母さんからおばあちゃんに届け物をお願いって頼まれたからそれをおばあちゃんに届けるために持ってきたの!」


 美月はニコッとしてそう言ってきた。


「なるほどな。それで今届けてたってわけだな」

「そういう事。慶は今から帰るところなんだよね?」

「そうだな。これから帰るつもりだったぞ」

「それじゃあ私も一緒に帰っても良い?」

「勿論良いぞ。じゃあ俺は美月の家まで送り届けるな」

「うん。ありがとう慶!それじゃあ帰ろっか」

「あぁ」


 そうして俺と美月は一緒に帰る事になった。



 ――美月との帰り道


「そういえば慶?」

「なんだ美月?」

「慶って明日は空いてる?それとも何か用事があったりとかする?」


 明日は土曜日だしバイトも入ってないので特に用事もないので暇だな。


「俺は特に用事もないし全然空いてるぞ?どうかしたのか?」

「実は明日私と結衣ちゃんと明香里ちゃんを私の家に招待して久しぶりに私の料理を振る舞うって事になってるんだけど……慶も来る?」


 美月のご飯……まだ一度しか食べたことないが本当においしかったよな。

 マジでプロって言われても違和感ないくらいだったしな……

 もう一度食べたいと聞かれたら当然……てか毎日食べたいくらいだしな。


「でも俺が行っても良いのか?三人で集まる予定だったんじゃないのか?」

「ううん。これは私がおばあちゃんに届け物をする為に家を出る前に結衣ちゃんの思い付きで決まった話で、実は今日の夜にでも慶もどう?ってグループチャットで誘うつもりだったんだよ。でもさっき二人に連絡して慶と会ったから直接誘うねって言ったの!」

「そうだったのか……一応聞くけど家に勝手に男子を上げても大丈夫なのか?」

「大丈夫だと思うよ。哉太だって来た事あるしね。まぁ小さい頃だけど……でもまぁ、慶だったら大丈夫だと思うよ。お母さんも慶の事は知ってる訳だし、お母さんったら慶の事を結構気に入ってるみたいだしね」


 そうなのか?恵さんとはあの時少ししか話してないのに気に入ってくれたのか?理由は良く分からないけどそれだったら良かったな。


「そうなのか?」

「そうなの!だからお母さんの事は心配しなくていいよ。お父さんはまぁ、お母さんが言った事に反対する事はないからそこも大丈夫だね。それに結衣ちゃんとか明香里ちゃんもいるわけだし気にする事でもないと思うよ」

「そうなのか。それじゃあ行こうかな」

「うん!」


 そういえば四人で集まるみたいな事は今まで一度もなかったよな。

 ちょっと、いやかなり楽しみだな……四人で集まるのも、美月の手料理をまた食べられるものどっちもな。


「それじゃあ結衣ちゃんと明香里ちゃんにも家に帰ったら四人のグループで私の方から伝えるようにするね!」

「あぁ、ありがとう美月」

「うん!」


 美月は笑顔でそう言った。

 こうして見ると美月の笑顔はやっぱり心が落ち着くんだよな。


「そういえば慶?」

「なんだ?」

「慶の誕生日っていつなの?」


 そういえば誕生日の話は俺たちの中で全くと言って良いほどしてなかったな。


「俺の誕生日は12月3日だぞ」

「そうなんだ!それじゃあ明香里ちゃんとほぼ同じだね!」

「そうなのか?」

「うん、そうだよ!明香里ちゃんの誕生日は12月5日だからね!」


 二日違いか、それだったらかなり近いんだな。


「確かに滅茶苦茶近いな」

「うん」


 そういえば美月や結衣の誕生日はいつなんだろうか?

 

 俺はそう思い続けて聞いてみた。


「そういえば美月と結衣の誕生日っていつなんだ?」

「えっとね、私の誕生日は11月21日で、結衣ちゃんが10月21日だよ!」

「それじゃあ美月も俺たちと結構近いんだな」

「まぁ、二週間くらいだからそうだね!」


 誕生日か……そういえば美月たちは去年誕生日パーティーってやったのかな?

 でもやったとしても高堂や酒井もいたんだろうな……

 今年は俺も一緒に祝えると良いな。


 俺がそんな事を思っていたら美月が言った。


「今年はそれぞれの誕生日で毎回四人で祝おうね。」


 たまたまだろうけど俺の考えている事が分かっているかのように、美月の満面の笑みでそう言って、それを見た俺は自然と笑顔になっていた。


「そうだな。でも俺と明香里は一緒で良いんじゃないか?流石に二日違いは別々に祝うのもな……」

「ふふふ、そうれもそうだね」


 それからも俺たちは美月の家に着くまでずっと楽しく会話を続けて俺は美月を送り届けた。



「ただいまー」


 家に帰った俺はそう言ったが、母さんは今日でまた出張に行った訳だからだれも家にはいないんだったな。


 家に入った俺は冷蔵庫からお茶と母さんが置いて言った食べ物をを取って椅子に座った。


「ふぅー、明日は本当に楽しみだな……」


 最近はいろいろと考える事が多かったけど明日はとにかくたのしもうか。

 せっかく四人で集まる訳なんだし余計な事は考えないようにしよう。


 そう思いながらご飯を食べて、その後に風呂に入った。



 俺がお風呂から上がるって自分の部屋に行くと丁度良くグループチャットに連絡が来た。


『結衣ちゃん!明香里ちゃん!明日慶も来てくれるって!』

『本当?やったー!!!』

『来てくれるんですね神道先輩』


 俺はそれを見てクスッと笑ってから返信した。


『明日はよろしくな三人とも!』

『よろしくね慶君♪』

『よろしくお願いします神道先輩』

『楽しみにしててね皆。私頑張って作るから』

『あぁ、楽しみにしてるぞ』

『慶君に美月の料理は凄いんだよ!って言おうと思ったけどそういえばもう食べた事あったんだったね』

『そうだな、一回だけ振る舞ってもらったけど滅茶苦茶おいしかったな』

『ですよね。私は料理が苦手なので本当に凄いと思います……憧れます』

『だよねだよね!私も料理は軽くするけど美月のは本当に次元が違うというか本当にすごいよね!!!』

『ちょっと、やめてよ皆。流石にそこまで言われると恥ずかしいよ』

『だって本当にそうなんだもん!』


 その後は結衣がスタンプを送ってきたり他愛のない会話をしあっていた。


 そしてそんなやり取りを終えた俺は明日を楽しみにしながら寝ることにした。

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