第54話 四人での食事会
「よし!こんなもんで良いかな」
今日は美月の家にお邪魔する予定なのだが、朝早くに目覚めた俺はすることがなかったので家の掃除をしていた。
「てかもうこんな時間なのか……」
ふと時刻を確認すると、時間を忘れて掃除をしていたらあっという間に時間が過ぎていたみたいだ。
時刻は11時で美月の家での集合時刻は12時30分なのでもうそろそろ準備をすると良い感じの時間だ。
それから取り敢えず俺は服を着替えてから身だしなみと整えることにした。
――それからしばらくして。
「よし!そろそろ行こうかな」
集合場所が美月の家なので早すぎても遅すぎても良くないと思った俺は、来るだけ時間通りに行くようにしようとしていたので、今出るのが丁度良いくらいだろう。
「ていうかちょっと緊張するかもな……」
今更だが俺は何故か少し緊張している気がした。
四人で遊ぶのが初めてだからなのだろうか?
そういえば学校では四人で話した事もあったのだが、それ程長時間でもなかったしな……
「まっ!せっかくの機会なんだし皆で楽しまないとだよな」
俺はそんな事を考えながら気合を入れて家を出ることにした。
◇
(ピーンポーン)
美月の家に着いた俺は早速チャイムを鳴らした。
そしてそれから直ぐに玄関から顔を出したのは美月ではなく明香里だった。
「あ、神道先輩。こんにちは」
「こんにちは明香里」
「美月さんは今料理中なので私が来ました」
「なるほどな。結衣ももういるのか?」
「はい。結衣さんは今お皿を並べたりしていますね」
二人は早めに来ていたのか……それだったら俺も連絡でもしてもっと早く来るべきだったな。
そんな事を思った俺は明香里に言った。
「じゃあ俺が最後だったんだな、もう少し早く来ればよかったな……」
「そんな事はないですよ。私たちは元々早めにきて買い出しなどのお手伝いをしていましたから、神道先輩は全然気にしないでくださいね」
「そうだったんだな」
「はい。それじゃあ行きましょう」
「そうだな」
そう言って俺は明香里と美月の家に入った。
――明香里と俺は一緒にリビングルームに入ると既に料理は並んでいて、そこには美月と結衣もいた。
「あ!慶君来たんだね!!」
「いらっしゃい慶」
「おじゃまするな美月。結衣も元気だな」
「うん!私は何時も元気だよ!!それより早速だけど私はもうお腹ペコペコだからさ!皆で美月の手料理をいただこうよ!!」
結衣は凄く楽しそうにそう言っていた。
余程美月の手料理を楽しみにしていたんだろうな……そんな事が結衣を見ていて伝わって来る。
「ふふふ、そうだね。じゃあそうしようか」
「そうですね。私もお腹がすいていますのでそうしましょうか」
そうして俺は美月の隣に座り、対面に結衣その隣に明香里が座った。
「それじゃあ頂きます」
「「「頂きます」」」
そう言って最初に結衣が食べ始めたので俺や明香里もそれに続いて食べ始めた。
「んー!やっぱりいつ食べても美月のご飯って最高だね!」
「そうですね。私も本当にそう思いますね」
二人がそう言うのは大袈裟じゃないのは俺も知っているし、今食べてもそう思う。
前にも思ったが本当に料理屋を将来的に出しても絶対に成功するんじゃないかってレベルだからな。
「マジでそうだよな……本当においしいよ」
「ふふふ、ありがとうね三人とも!それじゃあ私も頂こうかな」
美月もそう言って食べ始めて、一口食べてから言った。
「私も料理には自信があるけど言いすぎだと思うよ?」
「絶対にそんな事ないって!美月はもっと自信をもって良いよ!」
「そうですよ。私は美月さん以上においしい料理を作れる人は知りませんからね」
美月の言葉に二人はそう反応した。
そして俺もそれに続いて言った。
「そうだぞ。俺も二人と同じく美月の料理が今までで一番おいしいともうぞ。それこそ毎日食べたいくらいだしな」
「ま、毎日……」
俺がそう言うと美月はぽっと顔を赤くしていて明香里も顔を赤らめていた。
結衣はそんな俺たちを見守るようにニッコリして嬉しそうだった。
それから俺たち四人は楽しく料理を楽しんだ。
◇
「「「「ごちそうさまでした」」」」
俺たちは料理を食べ終わりそう言った。
「それにしても俺も早めに呼んでくれたら手伝ったのに」
俺がそう言うと結衣が言った。
「それは良いんだよ!これは私たちで決めたことだし、何より私たちは私たちで話す事もあったからね♪」
「うん。そうだね」
「そうですよ。さっきも言いましたけど神道先輩は気にしなくていいですからね」
俺の言葉に三人はそう反応した。
まぁ、三人がそう言っているのならばこれ以上俺が気にしても良くないか。
女子だけでの時間も大事だと思うしな。
「そうだな。それじゃあ気にしないようにするよ」
「うん!それでいいよ!」
「そうですよ」
「そうしてね慶」
「あぁ、でも流石に片付けはさせてくれよ?」
「分かったよそれじゃあ一緒に片付けようか慶」
そうして俺たちは食べ終わったものを片付けた。
◇
――片付けを終えた俺たちは四人でゆっくりとしていた。
「そういえばこういう風に四人で遊ぶのって初めてだよね!?」
「そうだね。確かに初めてだね」
「そうですね」
「四人で話すのも余りなかったもんな……」
「まぁ、学校では色々あるからね……」
「そうですね……」
「私はまぁ、大丈夫だけど明香里ちゃんは特にね……」
確かに俺は学校だと結衣以外とは人前で余り話せてないんだよな……
最近ではちょくちょく美月は話せるようになっているが明香里は学年も違うしなんせ高堂とは毎日家で顔を合わせる分ちょっとやりずらいんだよな……
正直のところ俺自身も明香里が家で気まずくなって欲しくないのでどうしようかと思っている所だしな……
「私は大丈夫ですけどね……今更兄さんがどうとか言うつもりもありませんし」
「でも一緒の家に住んでるわけだしな……」
「そうだよね……」
「そう考えるとやっぱり大変だね……」
俺をはじめ、結衣と美月がそう言うと明香里ははっきりと言った。
「それは大丈夫ですから本当に気にしないでくださいね。私の心はもう決まってますから。今更それは変わりませんよ」
明香里が余りにもはっきりそう言ったので俺は嬉しく思うと同時にドキッとした。
そして明香里は平常心を保っている感じで居るが、自分が言った事に後から恥ずかしがるように顔を赤くしていた。
結衣と美月はそんな明香里を姉のように優しく見守っていた。
そんな中、明香里が照れ隠しをするように言った。
「と、とにかくそういう事ですからもうその話は終わりです!」
「そうだね。分かったよ明香里ちゃん」
「ふふふ、明香里ちゃんったら可愛いな♪」
「やめてくださいよ!結衣さん!!!美月さんも結衣さんを止めて下さいよ!」
「私からしたら二人とも可愛いから無理だよ」
「そ、そんな事ないですよ。美月さんだって凄く美人ですよ……」
俺はそんな三人の会話を黙って聞いていた。
聞きながら思っていたのだが、この三人は本当に姉妹みたいに仲が良いんだな……そう改めて感じた。
聞いている感じだと、明香里が一番末っ子で次が元気な結衣、それからしっかりしていて周りが見えている美月……そんな感じだ。
この三人と付き合うにあたってこれから色々な事があると思うけど今はとにかくこの時間が心地よかった。
四人で付き合っても将来的にこの感じで居られればいいなと心から思った。
いや……居られればじゃなくて居られるように俺がとにかく頑張らないとな……
改めてそう感じさせてくれる有意義な時間だった。
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