第47話 結衣の告白
「どうしたんだろうか……」
俺は結衣に言われて放課後にいつもお昼を食べている空き教室に来ていた。
「そう言えば今日の結衣は落ち着きがなかったかもな」
目が合うと顔を赤くして反らされたしな……
でも普通に話せていた時もあったしな?
そんな事を考えていると結衣が教室に入って来た。
「慶君……」
「どうしたんだ結衣?」
「ちょっと話したい事があってね……取り敢えず隣に座っても良い?」
「勿論いいぞ」
そうして結衣は俺の隣に座って来た。
「そうれで話ってなんだ?」
「う、うん……えっと……慶君って好きな人出来たりした?前はいないって言ってたけど……」
好きな人……出来たと言えば間違いなく出来たんだが三人もいるんだよな……
結衣、美月、明香里、未だに誰が一番好きかが分からない。
優柔不断と思われるかも知れないけど俺は現状三人の事が同じ位好きだ。
それ位皆可愛いし、凄く良い子だから……
「そうだな……好きな人は出来たかな」
「そ、そうなんだ……あのね慶君!」
小さい声で話していた結衣は覚悟を決めた顔になり大きな声を出して来た。
「う、うん……」
「私……私慶君の事が好きなの!!!」
結衣はそう言って顔を近づけて迫って来た。
俺はまさか告白されるとは思っていなかったので少し焦ったが胸の高鳴りが凄かった。
「す、好き……」
「うん……あの時助けて貰った時からずっとね……慶君……私と付き合って欲しいの」
結衣は真剣な顔だが顔を真っ赤にしてそう言って来た。
付き合う……俺は間違いなく結衣の事が好きだ……それは絶対に言い切れるし間違いはない。
でも結衣だけが好きと聞かれればそうじゃない。
美月と明香里の事も同じ位好きだし……本当にこのまま受け入れて良いのだろうか。
はっきりしてから俺の方からちゃんと告白するつもりだったんだけどな……
俺がそんな事を思っていたら結衣が言った。
「もしかしたら、美月と明香里ちゃんの事を考えてる?」
「え?」
「私ね、何となく感じてたんだけど慶君って私達三人の事が好きなんだよね?確信は無かったけど……」
「うん……そうなんだ。だからまだ答えが出て来なくて……」
ここは誤魔化すべきではないと思って本当のことを言った。
結衣だけが好き……そう思えてない現状で受け入れるのは違う気がする。
ちゃんと確信を持ってからじゃないと相手にも失礼な気がするし……
「良いよ。私は二人とも付き合っても大丈夫だよ?」
「え?それって……」
二人とも付き合って大丈夫って……それは……
「一応ね……美月と明香里ちゃんも同じ意見なんだよ……本当はこの後言うつもりだったけど今言っちゃうね」
「そ、そうなのか……」
「うん。前にね私達三人で話し合ったんだよね……慶君と四人で付き合えれば良いねって……勿論二人の事を私から言うのは違うと思うから詳しくは言わないけど二人も慶君の事が好きなんだよって事だけは言っておくね」
……三人でそんな話をしていたのか。
三人がそう思ってくれているのであれば俺もそうしたい思いは強い……三人と付き合っても三人とも愛せるのは間違いないしおろそかにするつもりもない。
でもやっぱり両親や周りの事も含めると……
俺はそう思って結衣の顔を見ると結衣は真っ赤な顔で不安そうにこちらの返事を待っていた。
それを見た俺は思った。
女子の方がこんなに言ってくれているのにどうして俺はこんな事を考えているんだろうと……
寧ろ俺の方から積極的に行くべきなのに……
そうだ……今は先の事を考えるのは止めてちゃんと三人……今は結衣と向き合おうと。
「結衣!」
「は、はい……」
「結衣は俺の初めての友達だし俺は結衣が居てくれて本当に良かったと思ってる。結衣といると楽しいし何よりこれからもずっと一緒に居たいと思ってるんだ」
「そ、それって……」
「俺も結衣の事が好きだ……付き合おう結衣……」
「う、うん!」
結衣は軽く涙を流しながら満面の笑みでそう言って来た。
そうして結衣が俺に乗りかかる形で顔を近づけて来た。
「結衣……」
俺は結衣の目を見て結衣の唇にキスをした。
最初は唇を合わせるだけのキスを……そうして次第に舌を絡ませる深いキス……
結衣に押し倒されて結衣が俺の上に乗りながら暫くキスを続けていた。
――そうして暫く時間が経って落ち着いて来た。
「慶君♪」
結衣はそう言って隣にべったり座って腕にくっついて来た。
「ありがとうな結衣」
「ん?何の事か分からないけど大丈夫だよ♪」
正式に彼女となった結衣は先程よりも更に可愛く見える。
勿論元々可愛いのは間違いないが更にだ。
さっき言っていた美月と明香里の事も気になるが今は結衣だけに集中しよう。
「そっか……」
「うん!ねぇ慶君!」
「どうした?」
「夏休みいっぱい遊ぼうね!」
夏休みか。そう言えば来週が終われば夏休みが始まるんだよな。
そういえば高堂たちとはどうするんだろうか……いや、今はそんな事を考えるのはやめよう。
「そうだな。いっぱい遊ぼうか」
「うん♪楽しみ!」
「俺も楽しみだよ」
「慶君……」
「今度は何だ?」
「もう一回キスしても良い?」
結衣は上目遣いで顔を赤くしてそう言って来た。
そんな結衣を見た俺は何も言わずに結衣を軽く抱きしめてキスをした。
俺と結衣は暫くイチャイチャしたり話したりしてから帰ることにした。
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