第46話 結衣の決意

★遠坂結衣(side)


「結衣、美月、明香里も誘ってどっか遊び行こうぜー、カラオケとかさ」


 チャイムが終わり今日最後の授業が終わるった後、私と美月に空がそう言って来た。


「あー、ごめんね空!今日は私と美月と明香里ちゃんの三人で女子会をしようって事になってるんだよね」

「えー?またか?昼もそう言ってどっか行ってなかったか?」


 私がそう言うと空は不機嫌そうになった。

 でも今日の放課後に私は二人に言わないといけない事があるのだ。

 今週そして来週が終われば夏休みだ……私はそろそろもう一段階進みたい。

 夏休み前に彼氏彼女になっておければ遠慮しないでいっぱい遊べるしね。


 慶君とどこまで行きたいと聞かれれば恥ずかしいけど正直に言うと最後まで行きたい……

 高校二年生で周りの人でもちょくちょくそう言った経験がある人もいるし私も実は結構興味がある。 

 勿論その相手は慶君が良いしそれ以外は考えたくもないけどね。

 

 そんな事を考えていたが我に返って考えるのを止めた。

 だってそんな事を考えていたら恥ずかしくて絶対に顔に出るだろうから……

 そうして私は再び意識を会話に戻した。


「でも空?女の子にはそう言った時間も必要なんだよ」

「良く分かんないなー、そんな事より絶対皆で遊んだほうが楽しいのにな」

「まぁまぁ、空今日は早めに帰ってゲームでもしようぜ」


 だだをこねる空に対して哉太君がそう空を説得してくれた。


「まぁ、そうだな」

「ごめんね空、哉太君」

「大丈夫だよ三人で楽しんで来てな」


 確かに最近皆で遊ぶ時間は減って来てるし、三人で話し合った時は取り敢えず今のままでって事になったけどずっとこのままだとあまり良く無さそうだな……

 私と美月と明香里ちゃんが慶君と仮に付き合ったりしても同じような関係でいられるのかな?

 でもまぁ、近いうちにその辺も話さないといけない日が来そうだな。


 ――そうして私は美月と明香里ちゃんを連れて私の家に来た。


「それで結衣ちゃん、話って何?」


 私の部屋に三人で腰を下ろした後、美月が最初にそう言って来た。


「うん、でもその前に明香里ちゃんは昼休みどうだったの?」

「確かにそれは私も気になるな」

「そ、そうですね……」


 そうして明香里ちゃんは恥ずかしそうにしながらも昼休みに話をした。

 慶君の前に座って甘い時間を過ごせたと。


「頑張ったんだね明香里ちゃん」

「良かったね明香里ちゃん」

「は、はい……」


 明香里ちゃんに対して私と美月は優しい表情でそう言った。

 私と美月は明香里ちゃんが相手だとつい可愛がりたくなると言うかお姉ちゃんになった気分になる事が多いんだよね。

 明香里ちゃんって普段はしっかりしているのにこういった時にはあり得ない位可愛い顔になるんだよな。

 って、今は例の事をちゃんと考えないとだよね。

 

「それでね……前に三人で話したばっかりだけどやっぱり私は早く先に進みたいなって思ってね」

「それって……慶に告白するって事?」

「そ、そうなんですか結衣さん?」

「うん……夏休みも近いしね、正直に言うともっとちゃんとした形で慶君とイチャイチャしたい気持ちも大きいし……明香里ちゃんは今日から頑張り始めたのにごめんね……」


 明香里ちゃんは先ほども聞いたけど今日やっと前に進めた訳だからこんな事を言われたら困っちゃうかも知れないけどそれでも私は慶君と早くもっと色々な事をしてみたい気持ちが日に日に溢れて来る。


「わ、私は良いと思いますよ!さっき考えたんですけど最初に付き合うなら結衣さんだって思ってましたし!」

「そうだね。私もそれが良いと思うよ。最初は結衣ちゃん、この前言った時は結衣ちゃんは気にしなくて良いって言ってたけど、やっぱりそれは私の中で決まってる事だからね」


 私がそう言うと二人は笑顔でそう言ってくれた。


「ありがとう……でも本当に良いの?だってもし私と慶君が付き合えたとして慶君が二人以上と付き合わないって言ったら……二人は……」

「そうだね……でもそれは元々決めてたでしょ。私達の中でね。それにその時はその時だって!アタックし続ければ慶だって心代わりするかも知れないしね!」

「そうですよ。私も当然それも含めて言ってますよ」


 笑顔でそう言ってくる二人に私は涙がでそうになるが、それをぐっとこらえて笑顔を作って返事をした。


「そっか。ありがとう二人とも……私頑張るね!」

「うん!頑張ってね結衣ちゃん!」

「頑張ってください結衣さん!」



 ――その日の夜私は一人ベッドの上で考えていた。


「明日だね……」


 告白すると決めたので私は明日の放課後、慶君に告白をする。

 付き合ってからどうなるかはまだ分からないけどそれでも私は付き合いたい。

 私は付き合ってから慶君としてみたい事が沢山ある。

 デートだってしてみたいし色々な所にも行ってみたい。

 今度は慶君の部屋にも行ってみたいし私の部屋にも招待したいしね。

 そして私だってエッチな事に興味あるしね……しかも正直に言うと私は慶君となら付き合えさえすればその日にでもって感じだ。

 まぁ、それは流れに任せよう……私の気分が高まり過ぎて誘っちゃうかも知れないけどね……

 

 でも慶君と三人共付き合う目的を叶えるには問題が多い。

 慶君の意思……慶君が三人と付き合う事にオッケーしてくれるかどうか。

 大体慶君が私達のだれとも付き合わない可能性だってある訳だしね……

 

 そしてそれをクリアした所で私達の両親や慶君の両親が許可してくれなかったら全てが台無しになる。

 

「ふぅー、でも私は告白する事だけに集中しないとね……」


 告白してもし付き合えたら私の方から慶君に聞いてみよう……

 もし美月と明香里ちゃんも慶君の事を好きって言ったらどうするかを…… 

 そうして私は慶君の反応を見て私の意思を伝えよう。


 まぁ、それは付き合えた日の後日の話かな。

 流石に付き合えたその日は私は何も考えないで慶君とイチャイチャしたいしね。


「よし!頑張ろう!!!」


 私は緊張してドキドキしていたが不思議と直ぐに眠りに着けた。

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