第7話 勉強会 遠坂結衣(side)
★遠坂結衣(side)
私達は五人で高堂家にお邪魔してテスト勉強会をしている。
「はぁーちょっと休憩ー」
「俺もー」
「二人ともまだ30分しかやってないよ!もう少し頑張んないとまた赤点取っちゃうよ?」
「んー、分かってるけどギリギリで受かった学校だし、付いて行くのきついんだよなー」
「ほんとそれだよな、俺も同じだわ」
だったらもっと頑張ろうよ!って言いたいところだけどそれで前に空と言い合いになったんだよね……
「もー、私達だけでやろ!美月、明香里ちゃん!」
「まぁ、二人はいつもこんな感じだしね……」
「全く、兄さんたちはもう少し頑張って下さいよ」
「ういー、少し休憩してからなー、哉太!ちょっとゲームしよーぜ」
「おっ、いいね!」
「やるなら違う部屋でやってよね、兄さんたち」
「分かってるよ」
そう言って二人は部屋から出て行った。
「はぁ、いつも通りなんだけどね、なんで赤点取ってるのに頑張ってくれないんだろう……」
「結衣さん、それに関しては私達が何を言ってももう無駄ですよ、私ももう諦めてますし」
「あはは……二人は良く注意してたもんね、全く聞いてくれないけど」
「勉強しよっか」
「「うん(そうですね)」」
――それから一時間後
「よし!勉強するぞ!」
そう言って二人が帰って来た。
「なぁ、結衣?ここはどうするんだ?」
「そこだったら、ここをこうやって……」
私は出来るだけ分かりやすいように空に教えた。
「サンキュー結衣」
「どういたしまして」
私が空に教えている間に哉太君は美月に教えて貰っていたみたいだ。
正直に言って私は哉太君の事はあまり分からない、二人で話す事は時々あるけど軽く雑談をする程度だ。
美月の幼馴染で空の親友だから一緒に居るけど、美月の事をどう思っているのだろうか……
まぁ、そんな事は本人は聞けないけどね。
何て考えていたら哉太君がいきなり質問をして来た。
「そうだ!そう言えば結衣さんって最近あのなんだっけ、えっと、そうだ神道と教室で良く話してるよね?」
「確かに、それは俺も気になってたよ」
「そうだね、最近友達になったからね」
「んーまぁ、結衣は友達多いもんな、隣の席だし仲良くなる事もあるか」
「そうだよ」
「にしても神道っていっつも一人だけどなんでなんだろうな」
「んー友達作ろうともしてないし感じだしあんま人と話すの得意じゃ無いんじゃないか?それか孤独がカッコイイって思ってたり」
「そりゃないだろ、ふははは」
いつも通りの軽口だ。
空君達的には冗談で盛り上がろうとしていて悪口だとは思っていないんだろうな……私もいつもだったら適当に流していたと思う。
でも今回はちょっとムカムカする……何でか慶君を馬鹿にされている様な感じがして落ち着かない。
「はいはい、二人とも口じゃなくて手を動かそうね」
私が二人にやめてって言おうとしたら先に美月がそう言った。
「「はーい」」
私は間違いなく空の事が好きなはずだ。
でも好きな人と一緒にいて疲れるって普通なのかな?
確かに楽しい時も嬉しい時もあるしけど、悲しい事もある。
でも一緒に居てどう思うって聞かれたら、疲れるって言うのが結論だ。
悪い所が目立っちゃうのは当たり前な事で普通なのかな?
良く分からなくなって来たよ……
(ふぅー)
私は軽く深呼吸をして今は勉強の事だけ考える事にした。
◇
――私は勉強会を終えて家に帰ってベッドでゴロゴロしていた。
「はぁー、私って本当に空の事好きなんだよね……」
最近、明香里ちゃんや美月が空とイチャイチャしていても前より嫉妬しなくなって来てるし。
前よりも自分に余裕が出来てきたからか、哉太君と空が少し幼稚に見えてしまう。
そう考えてみたら慶君って凄く余裕があって大人っぽいな。
一緒に居て落ち着くし嫌な気持ちになる事が全くない。
「そうだ、ちょっと気分が落ち着かないし慶君に電話してみよっと」
私はそう思い慶君に電話を掛けた。
「ヤッホー慶君!」
『どうした?』
「慶君と話したくなっただけだよ」
『どうした急に、彼女みたいな事言っちゃって』
「……」
それを聞いて私は凄く恥ずかしくなった。
確かに今思えば話したくなって電話をかけるってかなり好意がある証拠だ。
無意識のうちに電話をかけていたけど……
いや、私は空の事が好きなはずだ、今考えてみても好きで言うと空だなとは思う。
確かに慶君の事は信用してるし話してると安心出来るけど、友達としての好きなはずだ。
そう、これは美月や明香里ちゃん達に向けてるのと同じ感情……だよね?
ただ美月と明香里ちゃんとは空が絡むと少し思う事があるけど、慶君だったらそれもないからその分話しやすいってだけだよね……
『おーい、どうした?結衣さーん』
私は考えに耽っていてぼーっとしちゃっていたみたいだ。
「あっ、ごめん、ちょっと考え事しちゃってた!」
『大丈夫か?』
「うん、大丈夫だよ!」
『そうか?ならいいけど』
「それより勉強は大丈夫そう?今日したんでしょ?」
『ぼちぼちかな?、勿論結衣さんとか宮本さんと比べたら全然だけどな』
「へー、だったら私が……」
数分前までの私だったら直ぐに私が教えてあげるよ!って言っていただろう。
けどさっきの事もあり言い淀んでしまった。
私は慶君を……そう思ったが私は首を振って考え直した。
慶君とは美月と明香里ちゃんと同じ感情なはずだ。
だから大丈夫!友達に勉強を教えるのは別に何も変じゃないはずだ!
『ん?私がどうした?』
「私が教えてあげよっか?勉強」
『いや、結衣さんはそっち側で勉強会とかしないのか?放課後とかに』
「する時はするけど基本は休みの時以外は各自でしてるから大丈夫だよ」
『んー、でも男女で二人はマズのでは?前にも言ったけど勘違いされるって』
「大丈夫だよ!その時はちゃんと友達って言うし、実際にやましいことなんてないんだしさ!」
気付けば何故か私は必死になって慶君を誘っていた。
『そ、そんなに言うんだったら分かったよ』
「う、うん」
そうして私達は放課後に勉強する事になった。
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