第6話 宮本美月との邂逅

 んー、一体何がどうしてこうなったんだ……


 俺は買い物をしに外に出て来たのだが……今現在何故か宮本美月とカフェに来いる……


 マジで何でなんだこの状況。


 ――10分前――


 俺は凄く暇だったので小説とか漫画を買いに出かける事にした。

 

 そんな俺だが、買い物を済ませたので店の外に出ようとしていた時、アニメのディスクやグッズを買っている宮本美月を見つけた。


 美月さんもアニメとか見るんだな……そんな事を思い俺は意外な親近感を感じていた。

 

 俺がそう思いながら美月さんを見ているとお会計を終えた美月さんが俺に気付いて顔を赤くして口をパクパクしていた。

 数秒後美月さんはこちらに寄って来た。


「あの!神道君ですよね……」

「そうだけど……」


 最近の俺はどうしてこんなにヒロイン達と出会ってしまうのだろうか……


「このことは誰にも言わないで内緒にしてください!」

「えっと、アニメが好きって事をか?」


 俺がそう言うと美月さんは大きく首を縦に振った。

 アニメが好きなんて恥ずかしくもなんともないのにな……

 

「それは別に良いけど……」

「神道君、ここじゃ人の迷惑になるので場所を移して話しましょう」

「そ、そうだな……」


 ――そして今に至る――


「それで神道君はこの事を内緒にしていてくれるんだよね?」

「そりゃ勿論そうだよ?いちいち言いふらす意味も無いしな」


 俺がそう言うと美月さんはほっとした表情になった。


「ありがとう……」

「んー、まぁ、内緒にしたい気持ちも分からなくは無いが、一応言っておくとアニメが好きって恥ずかしい事じゃないからな?」

「それは分かってるんだけどね……」

「何か内緒にしたい理由でもあるのか?」

「うん……」

「ふーん、それって結衣さん達にも内緒なのか?」

「そう言えば神道君は二人と面識あるんだったね……二人は知ってるよ」

「それじゃあ、高堂と酒井はどうなんだ?」


 俺がそう聞くと美月さんは少し悲しそうな顔になった。


「二人にはそれとなくアニメが好きってどう思うか聞いたんだけど……別に良いとは思うがちょっと苦手かもって二人で笑ってたんだよね……」


 うわぁー、そりゃきついな。

 幼馴染と好きな人がそろって自分の好きな物を苦手って笑うのはなぁ……

 余りにも可哀そうだな。


「そりゃ酷いな……内緒にしたい訳だ」

「うん……」

「まぁ、安心してくれ俺は馬鹿にもしないし否定もする気は無いからさ、てか俺もそこそこアニメ見てるしな」


 俺がそう言うと美月さんの顔が明るくなった。


「ありがとう!」

「何でそんなに喜んでるんだ?」

「実は結衣と明香里ちゃん以外では初めて話したのでつい嬉しくなっちゃた。否定も全くされなかったし……」


 美月さんは恥ずかしかったのか顔を赤くしながら俯いてそう言った。


「なるほどね、それで……」

「二人で何してるの?」


 俺の声を遮って話しかけて来たのは結衣さんだった。


「たまたま会ったから話してただけだぞ?」

「ふーん、慶君ったら、手が早いよ今度は美月なのね……」

「え?何の事?」


 いつも通りの揶揄い方をしてくる結衣さんの言葉に美月さんは全く理解していない様子だった。


「あー、宮本さんは気にしなくて良いよ、結衣さんの冗談だからさ」

「そうそう、冗談だよー♪」

「そうなんだね?よく分からないけど」


 そんな感じの会話をしながら結衣さんは美月さんの隣に座った。


「それで何で二人が一緒に居るの?」

「えっとな……」


 俺はこれまでの経緯を話した――


「そうなんだ、良かった、私はてっきり慶君がナンパしたのかと思ったよ」

「んな訳無いだろって」


 俺達の会話を聞いていた美月さんはきょとんとしていた。


「どうしたの?宮本さん?」

「いや、結衣ちゃんがテンション高すぎてびっくりしたの。私と明香里ちゃんと一緒に居る時より凄いから」

「……そっ、そんな事ないって!!!」


 美月さんの言葉に対して結衣さんは慌ててそう答えた。


「慌て過ぎだよ、結衣ちゃん」

「そ、そうだね」

「んで、結衣さんは何でここに?」

「私は塾の帰りにたまたま二人がここで一緒に居るのを見つけて気になって来ちゃっただけだよー」

「なるほどね」

「そう言えば慶君って転校してきたばかりだから分からないけど勉強は大丈夫なの?」

「勉強?」

「確かにもう少しで内の学校はテストだったね」

「そうそう、もう来週だよ?知らなかったの?」


 やべ、忘れてたわ。

 まぁ、前世では一応レベルは高くないが大学に行ってた訳だし何とかなるよな……多分。


「んー、まぁ、多分大丈夫だぞ?」

「信用出来ない返事だけどまぁ、それだったらいいけど」

「二人はどうなんだよ」

「へへへ、私は前回学年3位だったのだよ」


 結衣さんは凄く自慢げにそう言った。


「私は結衣ちゃんほど頭は良く無いけど前回は一応学年で10位だったかな」


 マジかよ……

 俺の記憶だとかなりレベルの高かったよな?俺達の高校は。

 美月さんはまだしも結衣さんってそんなに頭いいのかよ。

 

「凄いじゃん二人とも」

「そうだ!慶君も勉強会来る?明日日曜日だから皆でやるんだけどさ、どう?美月もいい?」

「私は大丈夫だよ」


 いや全然大丈夫じゃないからね?

 絶対あの高堂達も居るよねそれ。


「一応聞くが、誰が来るんだ?」

「えっと私達と明香里ちゃんと空と哉太君だね♪」


 だね♪じゃないだろうが……

 そんな中に俺を放り込もうとするなよ。

 気まずさ尋常じゃ無いってそれは。


「いや、ちょっと辞めておこうかな?」

「何で?」

「分かるだろうが」

「やっぱり無理かな?ダメ元で聞いてみたけど」

「大体男子二人にどう説明するんだよ、それに明香里もいるしさ」

「「ゴホッ」」


 俺がそう言うと二人は同時に何故か咳き込んだ。


「明香里?何で明香里ちゃんの事を明香里って呼んでるの?」

「え?だって本人がそう呼べって言ってたし」

「あの男を寄せ付けない明香里ちゃんが?本当なの神道君?」

「う、うん……でもあれだぞ?別に俺だからってよりかは結衣さんが認めてるなら何とかって言ってたから多分それが原因だぞ?」


 俺がそう言うと二人はお互いに目を合わせた。


「それだけじゃ明香里ちゃんは絶対に自分から名前で呼んで良いって言わないからね?」

「そうです、明香里ちゃんが名前呼びを許したのは空君と哉太君だけなんですよ」


 って言われてもな、明香里も深い理由があった訳じゃ無いと思うしな。


「まぁ、それはそうと勉強会はやっぱりやめておくよ、男子二人とは話した事すら無いし気まずいだけだしな」

「んー、まぁそれもそっか」

「そうですね」

「あぁ、俺は俺で勉強するから二人も頑張れよ」


 俺達はその後少しだけ三人で話した後に解散した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る