13
次の日になると、雨は止んでいた。(でも、見上げる空は今も灰色の空だった)
「今日は、昨日の大雨のせいでいろんなところが決壊したり、危ない場所になっていると思うから、なるべく小学校の敷地内から出ないこと。いいね、わかった? 三人とも」
「はい。わかりました!」久美子たち三人は道草先生に答える。
「うん。よろしい。じゃあ僕は町の修復の仕事があるから、またあとでね」そう言って道草先生は六年一組の教室を出て行った。
今日は本当なら学校のある日なのだけど、昨日の大雨の被害が思ったよりもひどかったため、道草先生もその修復作業に当たることになり、〇〇小学校はお休みとなった。(〇〇小学校は先生が道草細道先生一人だけの学校だった)
急なお休みをもらって嬉しくなった久美子たちは三人で遊ぶことにした。
〇〇小学校の中で鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたり、本を読んだり、運動をしたりして遊んだ。
そんなことをしていると、信くんが「あ、そういえば、二人に面白いものを見せるって約束してたよな。今からそれを見に行こうぜ」と読んでいた本からぱっと顔を上げて同じように(図書室で)本を読んでいた二人に向かってそう言った。
「そういえばそんなこと言ってたけど、その面白いものってなんなの?」と久美子は言った。
「だから秘密だって。それがある場所まで行こうぜ。俺も最近、それを発見してさ、すごく興奮したんだよ」と本当に興奮しているような顔で信くんは言った。
「でも、それって、学校の敷地の外にあるんでしょ? 学校から出ないようにって道草先生、言ってたからだからだめだよ」と久美子は言った。
「……いや、ここは行ったほうがいい」
いつの間にか本から顔を上げて、図書館の天井を見て、なにかの考えごとにふけっていたさゆりちゃんがそう言った。
「行ったほうがいいって、信くんについていったほうがいいっていうの?」
「うん」
久美子の言葉にさゆりちゃんが答える。
いつもなら、先生の言うことや規則を守るさゆりちゃんがこういうことをいうのは珍しい。(きっと、なにか考えがあるのだろう)
「へー。珍しいな。絶対関谷は反対するって思ってたのにな」意外そうな顔をして信くんはいう。
「いつから不良になったんだよ。お前」
「今から」
信くんの言葉にさゆりちゃんは答える。
それで私たち三人の次の行動が決まった。私たちはその信くんの見つけたあるものをみんなで見るためにお昼ご飯のお弁当を食べてから、三人で一緒に〇〇小学校の敷地内を抜け出して、近くにある森の中に足を踏み入れていった。
その森は暗く、昨日の大雨によって、大地はぬかるみ、森は全体的に雨の雫で濡れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます