『アイコス救助隊』兼『カップホルダー』

愛彩

『アイコス救助隊』兼『カップホルダー』

優しい男が、好きなのです。


ぽっきん。

アイコス本体の中でタバコスティックが折れ、詰まり、なかなか出てきてくれません。

高頻度で折れてしまうのです。


『貸してごらん。ほら治ったよ。』

自主的に取ってくれる方も居ましたし、


『これ、治せるかな?』

わたしからお願いすると、いつも嫌そうに、でも少しだけ嬉しそうにするりと上手に取ってくれる方も居ました。


アイコス救助が上手なひとって素敵。

わたしは好きです。

なんだか、セクシーじゃあありませんか?

運転が上手なひとって素敵、みたいな感覚でしょうか。

兎にも角にも、好きなのです。



そんなアイコス救助隊の彼とお付き合いをする前にスポーツ観戦へ。


昼間からビールと焼きそばを。


ビールが堪りませんね。

続いて、焼きそばを。

おっと、焼きそばをいただくには左手で焼きそばを持って、右手でお箸を持たなくてはなりません。

わたしの右手の中には美味しいビールが。

野外です。

カップホルダーはございません。

地べたに置くのもお行儀が悪い気がして、すこし、頭をグルグルとさせていました。

『ビール貸して。』

『ありがとう。』

彼は、カップホルダーになってくれました。


一つの焼きそばを二人で半分こ。

交互に食べていました。

わたしの食べる番の時、ちらりと彼を見つめる度に、彼はカップホルダーへと大変身。


ああ、素敵。

ちょっと、この方とお付き合いしたいかも。ってきっかけになりました。


お付き合い後、またまたスポーツ観戦へ。


『あの時、毎回ビールを持ってくれていたでしょう。あれ、凄く嬉しかったし、素敵だなって思ったの。ありがとう。』

『ふうん。そっか。』

彼は、にんまりとしながら焼きそばを口いっぱいに頬張っていました。

そして、わたしの頬張る番の時には、自らカップホルダーへ立候補してくれるのでした。


やっぱり優しい男が、好きなのです。

それでは。

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『アイコス救助隊』兼『カップホルダー』 愛彩 @omoshiroikao

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