第1章 第4話 竜たちの不器用な助言
誕生日サプライズも無事に終わり、私とユウマ、そしてザグルとリグルは日常の訓練生活に戻った。ユウマは少しずつ成長しているけれど、私にとって彼はまだまだ守ってあげたい存在だ。もちろん、彼自身もそのことに気づいていない。そんな彼をサポートし続けるのは、私の喜びでもある。
しかし、最近ザグルとリグルがやけに何か言いたそうに私を見てくるのが気になる。普段は私の甘やかしに呆れてため息ばかりついている二匹だが、今日は少し様子が違う。私は彼らが何を考えているのか気になり、つい話しかけてしまった。
「ねえ、ザグル、リグル。何か私に言いたいことがあるんじゃない?」
ザグルは少し間を置いて、私をじっと見つめた。そして、低い声で口を開く。
「リーナよ、ここだけの話だが…お前、あまりにも過保護すぎるのではないか?」
「えっ?」
思わず驚いて声を上げてしまう。彼が何を言っているのか、一瞬理解できなかった。でも、すぐに彼の言葉の意味が飲み込めて、少しだけ心がザワザワしてしまった。
「過保護…私が?」
「兄者の言う通りだよ、リーナ!ユウマは成長してるけど、君が守りすぎてるせいで、彼が自分で乗り越えるチャンスを逃してるんじゃないかな?」
リグルもそう言いながら、私に柔らかい口調で助言してきた。確かに、いつもユウマを助けたくてつい前に出てしまうけど、それが彼の成長を妨げているなんて思いもしなかった。
「うーん、そうかもしれないけど…でも、彼が困ってたら放っておけないの!」
私の心情を竜たちに説明するけれど、ザグルは軽く頭を振る。
「確かに、お前の気持ちは理解できる。だが、彼が一人で立ち向かう力を養わなければ、いつかその優しさが逆効果になることもあるかもしれん。」
リグルも少し心配そうに頷く。
「リーナがユウマのことを大切に思っているのは分かるよ。でも、時々は彼に失敗させて、自分で立ち上がらせることも大事なんじゃないかな。」
私は少し考え込んだ。彼らの言うことは確かに一理ある。ユウマはまだ成長途中で、私が過剰に守っているせいで、彼が自分で解決する力を養えないままになる可能性がある。それが彼にとって本当に良いことなのか…。
でも、私にはやはり彼を守りたいという気持ちが強すぎて、それを簡単に手放すことができない。
「うーん…そう言われても、やっぱり彼が危険な目に遭うのは見ていられないな。」
そう答えると、ザグルが少し困ったような顔をしてため息をついた。
「リーナよ、過保護もほどほどにしろ。もしユウマが常にお前に助けられてばかりでは、彼の誇りまで損なうかもしれん。」
その言葉に、私はハッとした。ユウマが誇りを持って成長していく姿を見守りたいという気持ちがある一方で、彼を守りたいという私の思いがぶつかっている。
リグルも穏やかな声で付け加える。
「リーナ、ユウマは強くなりたいと思ってる。君の助けは必要だけど、時々は彼が自分で戦う時間も与えてあげないと。」
私はしばらく黙って考えた。彼らの言葉が胸に響いてくる。私がユウマをどれだけ守りたくても、彼自身が強くなるためには、自分で乗り越えなければならない壁があるのだと。
「…わかったわ。ちょっとずつ、ユウマが自分で立ち向かう時間を増やしていく。でも、本当に危ないときは絶対に助けるから!」
竜たちは微笑んで私の決意を聞いてくれた。
「それでいい、リーナよ。お前なら彼を見守ることができるはずだ。」
「うん、そうそう!リーナなら大丈夫!」
こうして、私は少しずつユウマに自分で立ち向かうチャンスを与えることを決めた。でも、それでも彼が危険な目に遭うときは、絶対に見捨てたりしない。彼を守ること、それが私の大切な使命なのだから
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