第1章 第3話 リーナ、誕生日サプライズ大作戦!
今日という日がやってきた。そう、ユウマの誕生日!私はこの日のために、密かにサプライズを準備してきた。ユウマは自分の誕生日なんて全く気にしていない様子で、むしろいつも通りの訓練をこなしているけど、そんな彼を驚かせることができると思うと、ワクワクが止まらない。
「リーナ先輩、今日は何か特別なことがあるんですか?」
朝の挨拶の時点で、私はニヤニヤが止まらず、少し怪しまれてしまった。でも、今はまだ何も言わない。
「え?いや、別に…いつも通りよ?」
そう言いながらも、私の心は全然普通じゃない。だって、今日は彼の誕生日なんだから!ユウマが気づかないのはわかってるけど、そこがまた彼の可愛いところ。だからこそ、私が全力で祝ってあげるのだ!
訓練が終わり、ユウマが少し汗をかきながら木剣を片付けている。その姿を見て、私はそっと彼に近づいた。
「ユウマ、お疲れさま!ちょっと付き合ってくれる?」
「え?何ですか、リーナ先輩?」
少し戸惑っている様子だけど、彼は素直に私の後をついてくる。準備は万端だ。訓練場の裏手に小さなスペースを確保して、簡単な装飾と、私が作ったケーキも隠してある。
でも、今回はさらにスペシャルな要素を追加した。それは、ザグルとリグルの存在。彼らをどうしてもユウマの誕生日に巻き込みたくて、少し無理を言って強制的に参加させることにしたのだ。
「兄者、どうして俺たちがこんなことに?」
「弟者よ、私たちが無理やり引き込まれたことに他ならん。」
ザグルとリグルは、私が準備した小さな誕生日パーティーに、どこか不満げな顔をしている。まあ、彼らが自発的にこういう行事に参加するのは無理だから、半ば強制なのは仕方ない。
「お二人とも!今日はユウマの誕生日なんだから、ちゃんと盛り上げる役をやってもらいますからね!」
私は二匹の竜に厳しい顔で指示を出す。ザグルは仕方なさそうにため息をつき、リグルは微妙にテンションが上がらない様子で、「まあ、やるしかないか…」と小さく呟いた。
やがて、私たちが準備した場所に到着すると、ユウマは不思議そうな顔で周りを見渡した。
「これ…何ですか?」
「サプライズよ、ユウマ!誕生日おめでとう!」
私はニッコリ笑いながら、テーブルに隠してあったケーキを取り出した。小さなケーキだけど、私が一生懸命作ったものだ。それに、二匹の竜も控えている。
「え…今日、僕の誕生日だったんですか!?」
ユウマは本当に驚いた顔をしている。ほらね、やっぱり彼は自分の誕生日すら覚えていなかった。でも、そんなところがまた愛おしい。
「そうよ!君のために準備したの、私と…ね、ザグルとリグルも。」
私は二匹の竜に目を向けた。ザグルはどこかしぶしぶといった感じで「おめでとう、ユウマ」と低い声で言い、リグルは少しだけ明るい声で「おめでとう!」と一緒に祝福の声を上げた。
「竜たちまで…ありがとうございます!」
ユウマは驚きつつも、嬉しそうに二匹の竜を見上げた。その純粋な笑顔に、竜たちも少しばかり気が緩んだのか、ザグルが「まあ、今日くらいは特別だ」と言い、リグルが「みんなでケーキ食べようよ!」とテンションを上げ始めた。
「さあ、ケーキを食べようか!君のために一生懸命作ったからね!」
私がケーキを差し出すと、ユウマは「いただきます!」と笑顔で一口食べた。私はその瞬間を見て、心の中で再びガッツポーズ。サプライズは大成功だった。
「兄者、これなら悪くないね。ユウマも楽しそうだし。」
「弟者よ、確かに。思ったよりも悪くはない。」
ザグルとリグルが、私たちを見守りながら少し満足げに頷いているのが見えた。彼らも、無理やり引き込まれたものの、最終的にはこの場を楽しんでくれているようだ。
「リーナ先輩、本当にありがとうございます!僕、こんなに祝ってもらったのは初めてです。」
ユウマが満面の笑顔で感謝の言葉を伝えてくれる。その瞬間、私はやっぱりこのサプライズをしてよかったと心の底から感じた。ユウマの幸せそうな顔を見られるなら、私はどんな無理だってするつもりだ。
「何言ってるの。これくらい当然よ。君は私にとって、とっても大切な後輩なんだから!」
ユウマは少し照れた顔をして、「ありがとうございます」ともう一度言ってくれた。ザグルとリグルも、なんだかんだで彼の誕生日を一緒に祝ってくれている。
今日の誕生日サプライズは、無理やり巻き込んだ竜たちのおかげで、さらに特別な一日になった。
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