第1章 第1話 ドジでも可愛い!後輩の成長記録

「よーし!今日も訓練、頑張るぞ!」


ユウマはいつものように元気よく宣言した。朝日を浴びて、キラキラ輝くその瞳。…やっぱり、可愛い。彼のそんな姿を見ただけで、今日も良い一日になることは確実だ。


「うん、無理はしないでね。何かあったら、すぐ私が助けるから!」


またもや言い過ぎてしまったかもしれない。でも、仕方ないじゃない。彼が危ない目に遭うなんて、考えたくもない。全力でサポートしなきゃ、という気持ちが抑えられないのだ。これが私の"先輩の務め"。少なくとも、自分ではそう思っている。


訓練場には、私たちの他に数人の騎士たちがちらほらいるけれど、私はユウマ以外の存在がほとんど見えていない。彼が真剣に剣を振る姿、魔法を唱えるその集中した表情に、私は心の中で密かに「頑張れ!」とエールを送っている。


「今日こそ、完璧にやってみせます!」


ユウマがそう意気込んで、訓練用の木の剣を構えた。私は胸をドキドキさせながら見守る。今日はどれだけ成長したユウマを見られるのだろう。期待に胸が高鳴る…が、次の瞬間、彼は木の剣を盛大に地面に落とし、派手な音が響き渡った。


「…あれ?」


ユウマがポカンとした顔で、手の中から消えた剣を探している。それを見て、私は思わず笑ってしまいそうになるけど、必死に堪えた。いや、だって、あまりにも可愛すぎる!


「大丈夫!そんなミス、誰にでもあるから!」


すぐに駆け寄ってフォローする。そう、失敗しても、私がいるから。彼がどんなドジをしても、それは私にとって愛おしい瞬間なのだ。剣を拾い上げ、渡すと、ユウマはちょっと恥ずかしそうに笑ってみせた。


「すみません、リーナ先輩…またやっちゃいました。」


「ううん、全然気にしないで。次はきっと上手くいくよ!それに、君の頑張りがちゃんと伝わってるから!」


私は全力で彼を励ます。それが私の役目だし、何より、彼のそんな姿がますます愛おしく思えて仕方がない。


そのやり取りを遠くから見ていた竜兄弟が、またもや小声で会話を始めた。


「兄者、まただよ。リーナ、完全に甘やかしモードだね。」


「弟者よ、あの先輩の過保護ぶりは、もはや芸術の域に達していると言えよう。」


ザグルとリグルの会話が聞こえないふりをしつつ、私はユウマの隣で彼の動きを見守った。彼は本当に一生懸命頑張っている。それがわかるからこそ、私はもっと応援したくなるのだ。いや、応援じゃない。彼を守ることが、私の使命だと信じている。


「よーし、次は魔法です!先輩に教わった通り、集中してやってみます!」


ユウマは自信満々で手をかざし、魔法の詠唱を始めた。その姿がまた、真剣すぎて可愛い。私はすぐ横で、もし何かあればすぐに助けられるように待機している。でも、今日こそは完璧に決めてくれるはず。そんな期待に胸を膨らませて見守る…が。


「ええい!」


ユウマが放った魔法は、ちょっとだけ威力が足りなくて、訓練用の的にかすりもしなかった。


「……あれ?」


ポカンとした顔を見た瞬間、私はまた心の中で爆笑しそうになったが、今度もなんとか耐える。彼が失敗しても、それはそれで可愛い。いや、むしろその失敗が可愛さを引き立てている。


「大丈夫、ユウマ!最初はみんなそんなものだよ。君はきっとすぐに上手くなるから!」


またしても全力でフォローに入る私。そのたびに、遠くで見守っている竜兄弟が呆れたように首を振っているのが視界の端に映る。


「兄者よ、リーナのそのフォロー、むしろユウマに逆効果じゃないか?」


「いや、弟者よ。彼女が楽しそうならそれでいいんじゃないか?あの二人はもう放っておこう。」


どうやらザグルたちは、私たちを諦めたようだ。いや、それでも私はめげない。ユウマを守り、育てることこそが私の使命。甘やかしすぎだなんて、そんなことは関係ない。私は彼のためなら、どんな努力だって惜しまないのだ。

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