リーナ先輩と竜騎士ユウマの日々

@anichi-impact

プロローグ

――また今日も、ユウマのことが可愛すぎてどうしようもない!


「おはようございます、リーナ先輩!」


朝の訓練場に響く、元気すぎるその声。朝からこの笑顔に出会えるなんて、今日も一日幸せが約束されたようなものだ。彼のキラキラした目がまっすぐ私を見ている。…いや、違う。見ているというより、見ているだけだ。私に対する恋愛感情なんて、かけらもない。そもそも、彼にそんな感情が芽生える可能性なんて考えたことがあるだろうか?


「お、おはようユウマ…今日も元気ね?」


声が裏返らないように、精一杯自然な声で返事をしたつもり。でも、私の内心なんて、ザグルとリグルにはお見通しだ。横に控えている竜の兄者ザグルが、いつものように深いため息をつくのが耳に入る。


「また始まったな、弟者よ。この様子では、今日も何も進展しなさそうだ。」


「そうだね、兄者。リーナは全力で彼を甘やかしてるけど、ユウマは全然気づいてないよね。」


いつものように、ザグルとリグルの呆れ顔が目に浮かぶ。仕方ないじゃない、可愛いんだから!こんな純真無垢な後輩、他にいないんだもの。


「さて、今日も訓練、頑張ります!リーナ先輩のおかげで、僕、昨日よりも成長した気がします!」


何それ!そんなこと言われたら、もう…私は完全に心の中でガッツポーズを決めていた。いえ、外には出していないつもりだけど、もしかして顔に出ているかも?ニヤニヤしてないかな?不安になるけど、今はそんなことどうでもいい。だって、彼が私を頼りにしているのが嬉しすぎる!


「そ、そう?でも無理はしないでね。何かあったら、すぐに私が助けに行くから!」


またもや甘やかしすぎたかな。でも、仕方ない。彼が怪我するなんて考えられない!ユウマが苦しむ姿なんて、絶対に見たくないんだから。いや、そうじゃなくても彼にはもっともっと成長してほしい。だからこそ、いつだって全力でサポートするべきなんだ。もちろん、竜兄弟はそんな私をいつも見守っている…いや、呆れ果てているけど。


「兄者よ、あの先輩、甘やかしすぎていつか爆発しそうだよね。」


「いや、弟者よ。すでに限界は近いだろう。あの過保護ぶりは、もはや新しい戦術か何かかもしれん。」


ザグルとリグルのやり取りが聞こえてくる。そう、二人はいつも私を見て呆れている。特にザグルなんて、まるで年長者が弟子を見守るかのような口調で。…いや、そういう立場ではあるんだけど。リグルはもう少し楽観的だし、私たちを応援してくれている節もあるけど、どちらにせよ、二匹の竜に心配されるほど私は無理をしているのかも。


「今日も頑張りましょうね、リーナ先輩!」


ユウマの純粋すぎる笑顔に、もう一度心の中でガッツポーズ。何度見ても、彼の無邪気な姿に心を奪われる。この一瞬だけでも、私は彼のことを全力で守りたいと思ってしまうのだ。


「うん、頑張ろうね。でも、本当に無理しないでね。私が全力で守るから!」


「先輩のおかげで、僕も一人前に近づいています!ありがとうございます!」


そう言われたら、もう、どうやって隠せばいいのかわからない。内心では「可愛い!可愛すぎる!」と叫びたいくらいだけど、ここは冷静に、先輩として振る舞わなきゃ。でも、彼が褒められるたびに心の中で小さな花火が打ち上がる感覚。彼の成長を見届けられるなんて、最高の役目じゃないか。


「兄者、リーナが本気で溶けそうだね。」


「弟者よ、あれではいつか自分が燃え尽きるだろう。だが、それもまた一興だ。」


二匹の竜は、私たちの背中を見てため息をつきながら、どこか面白がっているようにも見える。まあ、彼らにとっては、私とユウマのやり取りが毎日の日課みたいなものだろう。けれど、私は今日も、彼の成長を一番近くで見届けられる喜びで満たされている。


「今日も頑張ろうね、ユウマ!」


「はい、先輩!」


彼のその返事一つで、私は今日も一日元気に過ごせる。たとえ何が起こっても、私は彼を守るために全力を尽くす。――だって、彼が大好きなんだから!


でも、これがいつかバレたらどうしよう…なんて心配しても無駄だ。そんなことを考えるより、今は彼の笑顔を見て、今日も頑張るのが先決だ。ユウマが隣にいてくれるだけで、私の世界は明るいんだから。

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