第7話

「高橋裕樹くん!君のこの絵はとても素晴らしい!是非選挙啓発のポスターに採用させてくれ!」



僕は昔から絵を描くのが好きだ。


あるコンテストに何気なく出した作品が選考者の目に止まり、こんな言葉をかけてもらえた。



「ありがとうございます!」


僕は人生で初めて賞状をもらった。


そこに書かれているのは普通の日本語の活字なのに、不思議と一字一字が踊り出しそうなくらい愉快に見えた。


「裕樹!すごいじゃん!おめでとう!」


クラスでは、舞香が僕の席に来てお祝いしてくれた。


「ありがと…!」


この時は不思議と、心から舞香の褒め言葉に喜ぶ事ができた。






「ただいま…!」


家に帰ったときも、いつもより声が弾んでいるのが自分でもわかった。


「おかえり裕樹。何かあったの?」


母が察しよく僕に聞く。


「これ…もらえた」


僕は校長先生から受け取った賞状を母に渡した。


「すごいじゃない裕樹!ポスターになるなんて!」


母は賞状を見て笑顔になった。


僕はそんな母を見て嬉しくなった。


普段はどうしても歩ばかりが褒められているからだ。




だけどそこに、歩が帰宅した。

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