第2話

「おい裕樹……これいらないか?」



歩がブレザーのポケットから出したスマホを僕に見せて言う。


そこに映るのは、プリクラの加工によって目が最大限に大きくなってる高校生らしき女の子の写真だった。



「俺の元カノなんだけどさー。こいつ、見た目は派手なくせにキスすらさせてくんねーの。つまんねえからもういらなくなって捨てたんだ。だからお前にあげてもいいぜ?」


ニヤニヤと大きな目を細めながら、口元を歪めて歩は僕に言う。




高校生になった僕たちは、昔に比べて更に差が開くようになった。




僕は毎日怒られずに生きるのに精一杯なのに、歩は毎日のように色んな女子たちと遊んでは彼女を変えている。



「……いいよ別に。僕、彼女とかいらないし」



そう言って歩の差し出すスマホから目を離した。



「……へえ…」



絡みつくような目線で僕を見て、歩はスマホをしまって部屋に行った。



(人をモノみたいに扱うなんて、ひどい…)



僕は歩の後ろ姿に向かって、心の中で非難した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る