いらないものを、僕にくれる兄
@sakusaku16868
第1話
「
「…ありがとうお兄ちゃん」
素直に礼を言って、小学4年生の僕は、双子の兄である歩から渡された壊れかけの玩具を貰った。
「お前は俺のいらなくなったものをもらってればいいんだよ!な?裕樹?」
真っ黒な艶のある髪に透き通るような肌。
まるでテレビから出てきたかのような美しい顔をした兄は、僕に向かって意地悪な笑顔を向けて言う。
「そうだねお兄ちゃん」
まるで機械のように言葉を発する僕の目には、リビングに飾られた数々の賞状やトロフィーが映る。
その名前欄には、全て「
お兄ちゃんは、毎日のように僕に向けてくる意地悪な顔ですら、思わず息を止めて見てしまうほど美しい。
それとは対象的に何もかもが平凡な僕は、ただ黙って兄からもらう「いらなくなったもの」を受け取るしかなかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます