8. 続きは有料版で(ないです)
「ごめんて」
「許さない」
「だってトウリ君、何度
「もうコイツ壊れてるんだよ……、そっとしておいてくれよ……」
僕を背中から抱き締め、髪に顔を埋めるトウリの頭をよしよしと撫でる。密着すれば、腰をグリと押すイキリ勃った剛直があり、極めて生物的な反射として、もはや下着としての用を成さなくなったスパッツパンツの内よりドロリとぬめる涎が止め処なく溢れる。
多分、お互いに二十か三十は数えたと思うのだが。下着の中がとんでもない有り様となっても、部屋がむせ返るほどの淫臭にまみれても、未だに尽きず衰えずな性欲はコレ大概ぶっ壊れてるなと、徐々に冷静さを取り戻していく頭で、
「トウリ君。僕のこと、好き?」
「……大好きだよ。サエ」
「そっか。僕も大好きだよ、トウリ君」
それでもなお、残る感情が、性懲りもなく口を突いて出る。
愛欲こそが、何よりも、壊れているばかりに。
「しっかし、ここまでやって手を出さないとは君の異常者っぷりも大概だよね。せっかくナマ中出しし放題だって何度も言ってあげたのに。いっそ生殺しだよ」
「反撃の隙も与えなかったのはどこの誰だよ。俺だって、俺がこんな受け体質だなんて知りとうなかった……」
「最終的に女の子みたいな声出てたよね。クッソ可愛かった」
「殺してくれ」
「まあ自分の好意だの愛情だのに自信が無いとかほざく、ヘタレトウリ君は今日ここで死んだってことで。ああそれと、コレ極力毎日するから覚悟したまへ」
「殺す気か?」
「一言前に何て言ったか覚えてる? だって君、放っておくとすぐにヘラりそうだから。この流れで僕が丸二日何もしなかったらどう思う?」
「死ぬわ」
「情緒が不安定過ぎる……、ホント君は正直でいいね。まあそういうことだよ。というわけで家に居たら適当なタイミングで襲うから」
「せめて、ゴムつける時間を」
「ダメ。下着越しでも君の精液受け止めたい」
「逃げ場がねえ……」
「本当は素っ裸でシたいの死ぬほど我慢してあげてるんだから感謝してくれよ。……頼むから、なるべく早く君から襲ってきてね。僕の理性が完全に死ぬ前に」
「コレでまだ理性残ってるのが恐ろし過ぎる。病み女ヤバ……」
君がそうさせたんじゃないか、と呟いて、撫でていた頭を押し上げ、彼の身体に背中を埋める。それだけで腰元の硬いモノが跳ねたが、それ以上に、何を言うまでもなく、背中から回した腕を気持ち強めに抱き締めてくれることに、温かな想いが溢れ出す。
「僕の初めてが、トウリ君で良かった」
「まだ最後まで抱いてないだろ。捏造すんな」
性懲りもなく落とされる軽口は、それでも、僕の本意をちゃんと汲み取ってくれて。
だから。
「愛してるよ、トウリ君」
「うん。愛してる、サエ」
ああ、だからこそ。
言うことなんて、できなかった。
必然と、自分と彼が同じであるからこそ、気付くことができた。
もう一つの、歪みを。
今は、まだ。
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