第30話 依頼品 其ノ二

「まぁお兄さんもお腹空いてると思うから情緒がないけどサクッと仕上げちゃうね!」


『なんかいろんな過程すっ飛ばしてなかった?おかしくない?ねぇ?』


「サキュバスの不思議パワー?」


『説明の放棄。』


「説明するとサキュバスって種の起源まで遡るんだけど大丈夫そ?それより冷めちゃうから食べちゃってね!」


『いや、説明やっぱりいらないわ。それじゃあいただきます。うんまっ!』


「食べ終わったらお風呂入ってきちゃってね!その間に食器とか片しちゃうから!」


『え?嫁?』


「…………別に今だけならそう思ってくれてもいいよ。旦那様♡」


『そ、それじゃあお風呂入ってくるから。』


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 これもはやボイスドラマでは!?ま、まぁそれはいいとしよう。旦那様♡って……下手すりゃ死人が出るぞ!だってボク自身の身近に一人死にそうなやついるし!ていうか数回もう既に死にかけ済みだし!ボクは知〜らね!次読も次!ボク好みで最高だしね。


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「お風呂から上がったみたいだから次は耳かきね!」


〜耳かきASMR〜


「それじゃあ……そろそろ精力を吸わせてもらおうかな?」


『ちょ、ちょっと心の準備が……』


「十分時間はあったでしょ?それじゃあさっそく吸わせてもらおうかな。。」


 まただ……またこんな子供の為されるがままになっちゃうのかよ。

 

「え?何そんな緊張してるの?照れちゃった?か〜わい♡」


 か、覚悟を決め……え?ハグ?


「なんでそんなに顔真っ赤にして……あ、わかった!えっちなことされると思ったんでしょ!お兄さんって意外とむっつりなんだね。お兄さんのえっち。ふふふっ。」


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 あぁ〜めちゃくちゃドキドキした……。心臓に悪すぎんだろ。しかも文字でこの破壊力とはね。ボクが読み上げたらどうなっちゃうのか……一応注意事項に書いとくか。「本音声作品の鑑賞によるあらゆる影響の責任を制作者は取りません。」っと。これで後のことはぜ〜んぶ購入者の自己責任!


 そういえば唯ちゃんはこれを直で聞くんだよね?大丈夫?死なない?いやでも本人の要望だしある程度覚悟の上だよね。契約書書いてもらおうかな。さすがに私は殺人犯にはなりたくないし。ボクは母さんの反応で学んだんだよ。人って意外と簡単に死にかけるんだって。


 え〜っと今後の予定は……。せっかくオフで会うんだからオフコラボもそのタイミングで出来るように予定を調整してシチュエーションボイス収録、雑談配信しつつ色紙にサインとイラストを描いていって……。あれ?グッズ販売もうすぐ出来るのでは?


 また別の機会になるとは思うけどオリジナル楽曲とか作りたいなぁ……。やっぱり自分だけの曲って憧れちやうよね。VTuberとしてはやっぱり3Dライブが大きな目標にはなるんだけど、オリジナル楽曲あるとそういう時に見せ場に出来るしやっぱ作りたい。唯ちゃんに頼んだらワンチャン出来ないかな……。


 いや、でも唯ちゃんと言えどそうなんでもかんでも出来るわけじゃないだろうし。それに唯ちゃんに頼りすぎるのもあんまりよくないよね……え?任せろ?


 えぇぇ……。いや、唯ちゃんはどこを目指してるのさ。ただの推し活?え?正気?憧れの推したちに少しでも近付きたい?プロフェッショナル推し達に比べて自分はまだまだ?ほんと何言ってんのこのジェネラリストは……。

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