第7話 習い事 その3
『あ、出発する前に目隠ししよっか。』
あの〜母さん?
「え?なんで?ちょっと意味がわからないんだけど!待って!待って!」
『いいからいいから!目隠しもしたし、それじゃあ出ぱーーつ!!』
「説明とかって……」
『するわけないじゃん。』
するわけないじゃん!?
「……」
『碧は今からボイストレーニングをする場所に行く。でもびっくりさせたいから行くまで周りを見ないで欲しい。ここまでオッケー?』
「全くもって納得は出来ないけど、とりあえずそういうもんだと思って理解はした。」
『それでいいの!それじゃあ誘拐スタイルでレッゴー!まぁすぐに着くから落ち着いて待ってくださいな!』
「……」
──────────────────────────────
『よし着いたよ!今から目隠し外すから待ってて〜。』
ついに、ついに、ボイストレーニングだぁーーーーー!って素直な気持ちで喜びたかった!なんでこんなよく分かんない状態のまま連れてこられなきゃいけないんだ!ほんとに母s……
「い、家!?」
『おぉ〜いい反応だね。それじゃあルームツアーをしていこうか!』
「え?ここ僕んちだよね!?」
『それはそうなんだけど実はこの家にはお父さんのロマンが詰まっているのさ!とりあえずお父さんの書斎に行くよ〜。』
「今まで生活してきてまだ僕はこの家の表しか見えていなかった!?自分で言っててなんだけど裏の家ってなんなだよ……。」
『着いたしとりあえず中に入るよ〜。で、入ってすぐの本棚のえ〜っと……この本だね。この本を奥に押し込むと本棚が動いて扉が出てくる。』
「ちょちょちょ、ちょっと待って!?情報量がすごくて頭がパンクするって!」
『問答無用!この扉は虹彩認証で開くんだけど、身内しか登録されてないよ。あ、これネタバレになっちゃうんだけど、今日の講師は碧の身内だよ。だってここ入れないし……。あ、この先のエレベーターで地下に降りるから。』
「あぁ……そりゃそうか。はぁ……もう驚く気力もない。」
『あったらきっと碧びっくりするよ。』
「え?そうなの?誰だろう。」
『それじゃあ入るよ〜。で、こちらが今回の講師の先生だよ!』
「……誰!?」
『ほら〜やっぱり驚いたでしょ?』
「もういいや、無視しよこんな人。」
ずっとやってみたかったんだよなぁ。そういえばボイトレって具体的になにするんだろう。まぁそれは始まってからのお楽しみということで。そろそろ始まるかなぁ。
「先生、よろしくお願いします。」
[こちらこそよろしくお願いします。私は碧ちゃんの従姉にあたる鈴宮凛よ。今日は可愛い可愛い私の従弟のためにビシバシ指導するからよろしくね!さて、これは碧ちゃんに限らずボイトレを始める人全員に聞いてる事なんだけど、あなたはどこを目指しますか?]
「どこ、とは?」
[ボイトレの目的です。プロレベルを目指すのか、アマチュアレベルでいいのか。目指すのなら歌手と声優のどちらを又は両方を目指すのかですね。]
「せっかくなのでプロレベルでかつ両方でお願いします。」
[欲張りますねぇ。]
「ボクは欲張りですから。」
[目的が決まったところでボイトレを始めていきますか。とはいえまだ年齢的にも幼いのと初回ということもあるのでまずは……]
へぇ〜、ボイトレってこういうことするんだ〜。知らなかったなぁ。
「今日はありがとうございました。またよろしくお願いします。」
[私も楽しかったよ。またよろしくね。あと、プライベートでは凛お姉ちゃんって呼んで欲しいな。]
「はいっ。今日はありがとうございました、凛お姉ちゃん!」
[はぅぅぅぅぅっ…………。か、可愛すぎる……。]
ダメだこの人、先に上戻ってよ……
──────────────────────────────
『どうだった?て聞くまでもないわね。見るからに楽しそう。』
「今日一日色んなことに挑戦出来たし、楽しかった。明日からが楽しみだよ。」
新しいことをどんどん吸収できるから成長を実感できるし、全部楽しかったなぁ。明日のレッスンが今から楽しみだよ。帰ったら走らないとなぁ。今日のレッスンで体力が大事って再認識出来たしちょっとペース上げてみよっかなぁ。
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