第6話 習い事 その2

 やって参りましたピアノ教室ーーーーー!やばい、テンションおかしくなってる。これに関してはほんとに初見!だって僕の鍵盤楽器歴なんて授業でやった鍵盤ハーモニカだけだからね。あ、猫踏んじゃったくらいは今でも弾けるよ?でもそれ以外は全然覚えてない。習ったのも何年前だって話だからね。


 あ、着いた。おぉ立派な建物……。

 

「『今日からよろしくお願いします。』」


[こちらこそお願いします。]

 

 よし、頑張ろう!爽やかで穏やかそうな美青年だ……。怒らせたら絶対怖いタイプだ。この人も一応仕事でやってることだから大丈夫だと思うけど粗相をしないように気を付けなきゃ……。自分で言うのもなんだけど4歳児の相手とかめんどくさいことこの上ないからね。目を離した瞬間にいなくなって盛大に何かをやらかす。それが4歳児クオリティだからね!


「まずは何からやるんですか?」


[っとまずは…………]


 あ、ちょっと驚いてる。やっぱり大変なんだな……。仕事な以上どんな相手であっても教えなきゃいけない。上達させることができなきゃクレームがくるだろうし、最悪の場合はクビか……。優しくしてあげよ。


「はい!頑張ります。」


 これくらいなら……。


「できました!」


『その次は……。』


 ま、まだ何とか……。


「で、できました……。」


──────────────────────────────


『これに挑戦してみようか!』


 いや、むっず!ていうかあれ?難易度上がるペース早過ぎない?さては僕を試してるな?挑戦状叩きつけられたからにはやってやんよ!


「が、頑張りますぅ……。」

 

 やっぱりむっずい!けど、思った通りに身体が動くから繰り返してやればやるだけ上達していく。すげぇ楽しい!


「で、できまし……た……。」


 集中しすぎて脳みそ疲れた……寝たい。

 

[マジか〜あれをこの時間内で成功させるとかほんとにピアノ初めて?]


 なんだよ、マジか〜って!あんたがやれって言ったんやろがい!


「はい、初めてですけど。」


[碧ちゃんの成長スピードは飲み込みが速いとかの次元超えてるよ。所謂天才ってやつだね。たぶん下地がある程度あったんだと思うけど、一番は努力を楽しんでたのが良かったんじゃないかな。努力型の天才は教えがいがあっていいね。]


 ありがたいけどピアノはやったことはないけど記憶を引き継いでるからこそできることだろうし、十で神童、十五で才子、二十歳過ぎれば只の人って言うしね。今のアドバンテージでどこまで行けるかだな……。

 

「ありがとうございます!光栄です!」


[それにこんなに真剣に、そして楽しそうに僕の話聞いてレッスンに取り組んでくれる子なんてそうそういないからさ。久しぶりにこっちも気持ちよく教えたよ。やっぱり他の子は親御さんに言われて来てるだけの子だからね。またよろしくね〜。]


 前から思ってたけどこのお子さまボディ何気にスペック高いよな。まだ子供だからなのか、それとも逆行したことによるファンタジー的な何かの影響なのか……


「はい、またよろしくお願いします。」


 次はボイストレーニングかぁ。ぶっちゃけこれが一番楽しみだったんだよなぁ。早く行きたいし、急いで母さんのところに戻ろっと。


『どうだった?』


「楽しかったよ。ボイストレーニングしに行こ!1番楽しみにしてたんだ〜」


『そうだったんだ。じゃあ行こうか。』


「うん!」

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