僕らの宇宙探査記
凍堂白玖
プロローグ
ある高校に通う
「ねぇねぇどこら辺に落ちてきたの?」
「わからない……こっちから焦げ臭い臭いするからこっちの方に落ちたんじゃないかな」
少年少女は目標に向かって歩いていく。暫く歩いていると銀色の、飛行機のような物が黒煙を上げながら墜落していた。直ぐ側には乗務員が横たわっていた。
「あ、誰かが横たわってる、怪我してるから助けてあげないと……」
「大丈夫、どうしたの……?」
声を掛けると横たわっていた何かが目を覚まして体を起こした。薄い水色の髪に灰色の目、そして軍服を身に纏っている。恐らく何処かの惑星の軍人だろうか。
「あ、あの……ありがとうございます。操作間違って……宇宙空間探査してたら突然コントロール効かなくなって地球に落下して…あとこれから太陽の近くまで探査しなければならないのに……あ、私の名前はロベリアです。出身は冥王星レインジャー平原です。」
「ロベリアね、よろしくね。私は桜木春、隣にいるのは柊優真。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします……あ、突然ごめんなさい、住む場所が無いのですがどうすればいいのでしょうか……」
「私の部屋に住む?一人暮らしだから空き部屋あるよ。片付けなきゃだけど…」
「そうなんですか…?ありがとうございます。地球に来てとても良かったと思います。これからよろしくお願いします。」
そして途中で柊とは別れ、桜木はロベリアを連れて家へと向かった。桜木の家は築40年は経っているであろうアパートで、そこで一人暮らしをしている。志望した高校が自宅より遠く不便だった為にアパートを借りたのである。まずそもそも自宅周辺に高校が一校も立っておらず何処を志望しても自宅より遠く離れた所になる。
「あー、此処が私の家。少しボロいけどごめんね。此処ら辺じゃ安いのこのアパートしか無かったから……」
「大丈夫です。寝泊まりするところがあれなんとかなります。住む場所を用意してくださりありがとう御座います。いつかこのお礼はさせて頂きます…」
「大丈夫だよそんなの…でもすごい丁寧に話してくれるけど…」
「そのように冥王星じゃ教育されますから。礼儀にはまぁ厳しいですよ。でも、私なんてまだまだなのでそこまで丁寧じゃないと思いますが。」
「そうなんだ…あ、そこに作っておいた夜ごはん置いてるから食べていいよ。嫌いだったら残していいから。」
そして桜木とロベリアは食事を取った後、明日の計画を立て眠りに就いた。ロベリアは暫く自室で何か作業をしていたようだ。
次の日
桜木はロベリアを連れて柊の家へと向かった。柊の家は何処にでもあるような一軒家で花が綺麗に咲き誇っていた。インターホンを押し、柊を迎えた後、ロベリアが行きたがっているホームセンターへと向かった。昨日落ちて来た飛行機はロベリアが夜中のうちに大体は直したらしい。システム関連は物凄く頑丈に作られているらしくシステム関連はほぼ破壊されていなかったらしいが、飛行するためのシステムと部品が壊れており、代わりになるような部品が無いかホームセンターに探しに行こうとロベリアが提案したのであった。
「ありそう?部品。」
「いくつか見つけました。後はネジと工具だけです。」
「そっか。探しに行こうか。ロベリアは飛行機直せるの?なんか複雑そうだけど…」
「あの飛行機はちょっとした探査に使う物なので簡単に直せます。私は以前エンジニアなど機械に携わる職業に就いていたので。ある程度は知識があります。」
そして暫く話しながらホームセンターを歩きまわりロベリアの言う工具とネジを探し出してレジへ向かった後、ホームセンターを後にした。桜木はロベリアが買った物を運びながら飛行機の落下した裏山へ向かっていた。
飛行機はまだ落下地点にあり、以前桜木と柊が見た時よりは状態が良くなっていた。後は飛行するためのシステムと部品を直すだけだった。外装は塗装があちこち剥げているものの以前より綺麗になっていた。ロベリアがホームセンターの袋から工具とネジを取り出してから元々飛行機に積んでいた予備の部品などを取り出し飛行機の修繕に取り掛かった。飛行機を直しながらロベリアは幾つか質問に答えてくれた。
「あの、ロベリアって軍服着てたけど…冥王星の軍人なの?」
「いや…私の住んでいるレインジャー平原の方々と組んでいる自警団です。軍人とは別物です。レインジャー平原では公的機関がほぼ機能していませんし、よほど重大な事件じゃなければ動きませんので…皇帝が暗殺されたとか…普通の殺人事件等はありふれていますからまず捜査すらしません。最近は虐殺事件が多発してるので自警団も前よりも警戒を強めています。」
「そうなんですね……ロベリアが宇宙探査してたのもそういう…?」
「まぁ、そうですね。自警団のトップからいい感じの惑星やら衛星やら見つけて来いと命令を受けました。そろそろ治安悪化が酷すぎて移住を検討しなければならないのです。」
暫くするとロベリアが飛行機を完全に直したようだった。燃料さえ調達できれば宇宙探査に向かえるそうだ。ロベリアは眠たそうにしており、柊がロベリアを背負い、家へと向かって帰って行った。
次の日
「優真、ロベリアは?……あ、後ろにいた。おはよ、ロベリア。しっかり眠れた?」
「はい。ありがとう御座います。春さん。今日宇宙探査へと戻る予定なのですが貴方達も行きますか?とても楽しいと思います。」
「いいの?ありがとう。優真も行こうよ。ロベリアの飛行機に乗ってさ、楽しいって。」
「じゃ、じゃあ行こうかな。……いつの間にか名前で呼び合う仲になったんだね二人ともさ……僕も春に名前呼んでもらうの久しぶりだったし。」
「そうなんですね。それでは行きましょう。行きたい所があれば言ってください。連れていきますよ。」
「ありがとう!ロベリア、早く行こう。」
そしてロベリアと桜木、柊はロベリアの操縦する飛行機に乗り込み三人は宇宙を目指して空へと旅立って行った。ロベリアが昨日直した飛行機は物凄く速いスピードで雲を突き抜け、あっという間に宇宙に辿り着いた。他の惑星にはこのスピードではあまり時間が掛かり過ぎるのでワープ機能を使って他の惑星へと向かった。
僕らの宇宙探査記 凍堂白玖 @S4pph1re
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