第5.5話 チャンス到来?

「分かりました、行きますよ」

「わー!?ありがとうございますうう!」


っっしゃああああ!ひよりさんを私の家に、連れて行くことができタッ!!

いやいや何を思ってるんだ、私は!?

初対面の人を家に入れて喜ぶとか、完全に犯罪者予備軍じゃないか!?


ま、まあただの友達だからね...あはははは


「ちなみに慧さんの家ってここから歩いて何分くらいかかりますか?」


あんまり来たことないけど、多分20分くらいじゃない?

「私の家ですか?それなら20分くらいですかね!では行きましょう!」


 淡々と道を歩いていく。何か話したいなー、って思ってるこうゆうときだけなぜか話題が何も出てこない。


そうだ、ひよりさんの名字まだ聞いてなかったはず!聞けばいいんだ!

既に怪しいのに、個人情報の名字まで教えろって言ってるんだし断られるかもだけど...


「う、上野」

「上野って名字なんですね!」

「はいそうです」

「教えてくれてありがとうございます!」


良かった!教えてくれて!これで怪しい奴なんて勘違いされたら家に行くことがなくなってしまう...()


 それからは、普通に帰ったらなにしようとか考えてたなあ。

映画鑑賞とかでいいんじゃない?一応学校帰りだし、早めに切り上げるべきだけど...


あ、まだひよりさんと連絡先を交換してなかった!交換してみよう!


「そういえば...ひよりさんと連絡先ってまだ交換してませんでしたよね。してもいいですかね?」

「いいですよ!むしろ大歓迎!」


画面には『陽葵』と書かれていた。へえ、ひよりって陽葵って書くんだ...。


そうこうしている内に、私の家についた。


「ここが、安月さんの家ですね!それではー...お邪魔しまーす!」


親はちょうど出張でいないし、別に挨拶はしなくてもいいんだけどね!


「まずは、何をしますか?」

「まあ、何でもいいですけど...映画鑑賞とかですかね?」

「まあ、そんな感じでいいですかね。」

「分かりました!じゃあそこに座ってください!」



「どうゆうのがいいですかね?」

ひよりさんって、どんな感じの映画が好きなんだろう?


「なんでもいいです」

なんでもいいかー...どんなのにしようかな?

なるべく短編映画にしたいけど、やっぱりオススメの『余生の末路』っていう映画かな!


 この映画は、前から主人公が好意を寄せていた幼馴染が、持病を持っていて余命が半年ということが発覚して、少しでも彼女が良い余生を過ごせるために、友達以上恋人未満の関係で過ごすラブコメ映画なんだ!短編映画なのも相まって儚くてオススメ!

ひよりさんが喜んでくれるといいけど...

「分かりました!今見せますねー」


私、オタクって程じゃないけど、こう見えて映画鑑賞が好きなんだ!

だから、週一で映画見てるし、映画のことならある程度なら分かるんだよね~


よし、テレビに映し出したことだし、また見るか~


この映画見るのは二回目だけど、二回目で気づくこととかあっていいんだよね!

ひよりさんも良さを分かってくれるかな!



映画を見始めてから五分くらいたった時、ひよりさんが「トイレに行く」といって、席を外した。


今が見どころなんだけどな~。ま、戻ってからみればいいしね!今は映画に集中集中!


ドーン

ひよりさんがトイレに行った少し後、トイレの方から大きな音がなった。


えっ、何々?

もしかして...ひよりさんの方から...?

ひよりさんに何かあったらじゃ大変だ!急いでトイレに向かおう


コンコン

「ひ、ひよりさん、いますかね...?」

「...」

案の定、応答はなかった。


トイレの鍵はかかってないから入れるけど...入った方がいいよね!?


「ひ、ひよりさん!失礼しまーす!」


扉を開けるとそこには、倒れていたひよりさんがいた。


「ええええ!?ひよりさん!?」

一応、息はしてるけど...


どうしよう!?ひとまず移動させなきゃ...


ひよりさんを抱いて、自分の部屋まで乗せていった。


「とりあえず自分の部屋に連れて行ったけど...どうしよう?!」


そもそも、倒れたのには何の原因があるんだ...?なんかの発作?それとも熱?


ひよりさんのおでこを触ってみたら...熱くない!?

ああ一応体温も測っておいた方が...体温計!下までとりにいかなきゃ!


急いで階段を下りて、体温計を見つけた。


「あった!早く、測らなきゃ!」


急いで階段を上って、自分の部屋についた。 


体温計を脇に入れてあげて...数値の上がり方が凄い...

計ってみたら、39度も...


明らかにヤバいから、市販薬を買って来なきゃ!


ああでも急にいなくなったら何があったか分からなくてびっくりするだろうし、なんかに書いておかなきゃ!


そこにあった紙を剥がして、

『ひよりさんへ

この紙を見てるというのは起きているはずですよね!

熱が出ていたっぽいので、今市販薬を買ってきます。

くれぐれも体に負担がかかることはしないでくださいね!?』


と書いておいた。急いでたから字が雑だったかもしれないけど、多分分かるでしょ!


ああ早く買って来ないと!それではひよりさん!行ってきます!




「ただいまー!」


聞こえてるかは分からないけど、一応言っといた。

市販薬を買ってきた。ひよりさん大丈夫かな...


リビングに着くと、ひよりさんが寝ていた。

良かった、本当に良かった...ひよりさんが生きていて...


一回起こそう。

「ひよりさん、ひよりさん、起きてください!」


「ああ...安月さん、帰ってきたんですね」

「!! 生きてて、本当に良かったです!」

「ひとまず、何があったかを説明してもらっても...」

「分かりました。」


「あの後、ひよりさんがトイレに行くってなったんですよ。」

「でも、その後20分くらい経っても帰って来なくて。」

「最初は、腹痛かなって思ってたんですけど、20分も帰ってこなくて、流石におかしいって思いまして。」

「それで、試しに声をかけたら、案の定帰って来なくて。」

「偶然、鍵がかかってなかったので入ったら、そこには倒れているひよりさんがいたんですよ!?流石にびっくりしましたよ。もし鍵がかかっていたら、入れなかったんですよ!?」

「体調が悪かったんなら、遠慮しないでどんどん言ってほしかったです」

「その後、ひよりさんを運んで私の部屋に連れて行ったんですよ。」

「そして、市販薬を買いに行ってきたんです。」


「そうなんですか。わざわざ、ありがとうございました。」


「私は、これ以上慧さんに迷惑をかけるわけにもいかないので、最後に市販薬を貰って帰っていっていいですか。」


「ダメです」

「え?」

「今日は私の家に泊っていってください。」

「ええええ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎週 土曜日 11:00 予定は変更される可能性があります

女装したら、晒されました。 高志保 しほ @shihosasimi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画