第2話 安月さんと対話
俺の女装が晒されてしまった。
今もなお、ハート数は増えている。
女装はもうやめようかと思っていたら、ふと安月さんのスマホの画面が目に入った。
『今話題の美人に絶対会ってやる
これからは毎日公園に行って見つけ出す』
まって、逆に安月さんに見つけてもらうチャンスじゃないか?
今まで晒された恐怖だけ考えていたが...
本来の目的は安月さんに見つけてもらうことだったんだ。
かと言って、また出かけてしまうと話しかけられたりまた晒されるかもしれない。
そんなの、たまったもんじゃない。
だから、このツイートの注目がなくなってきたら女装をすることにした。
ついでに、安月さんの様子を確認するため、安月さんの垢の名前を憶えておいた。
三週間後。
この
ついでに安月さんの投稿も見てみよう。
よし、鍵垢にはなってないな。
『毎日一時間探してるのに全然会えない。会いたいのにいいい
誰か目撃情報をくださいいい』
投稿時間は今日の9時。まだ諦めてはなさそうだ。
早く、学校が終わってくれ。
長かった学校はようやく終わった。
晒されたのは公園だったため、おそらく安月さんは公園辺りを探しているんだと思う。
この前みたいに着替えて、メイクもした。
早く会いたいという気持ちから、この前よりメイクが雑になっていた気がする。
元々声も中性的だし、「低音女子」とでも言っとけば大丈夫だろう。
そうして、公園に行った。こっから、近くの色んな所に行くつもりだ。
時間はまだまだあるため、存分に探すことができる。
早速、安月さんを探してみよう。
30分後。
未だに安月さんは見つからない。この時間帯なら探しているはずなのに。
それに、疲れてきた。運動部にも入ってないから、30分間ずっと歩き続けるのは少しは疲れるだろう。
ちょっとくらい、休憩してもいいよな。
この前のベンチに座って休憩を始めた。
休憩を初めて五分後、出会いは突然にやってきた。
「あ!!?」
聞き覚えがある声だ。
その声は...
まさしく、安月さんの声であった。
「すみません!ネットで話題になっている人であっていますかね...?」
目の前に、安月さんがいて、安月さんから話しかけてくれた。
ひとまず、嬉しいと思うより安月さんに話しかけることにした。
「あの...すみません、何のことでしょうか?」
「知らなかったんですか!?今あなたがTwitterでめちゃくちゃ有名になってるんですよ!?」
「え...?私、Twitterでなんかした覚えないんですけど...」
「勝手に晒されてたっぽいですよ...」
「まじですか!?ネットって怖いですね...あと、詳しく話をしたいので近くのカフェに行きませんか?」
「え、是非是非!」
そうして、近場のカフェに行くことになった。
作戦は、成功した。ようやく、安月さんと話すことが出来た。
後は、名前を教え合って、連絡先を交換するだけだ。
そうすれば、後は自然に関係が広がるだろう。
「とりあえずー...その例の投稿を見せてくれませんか?」
「いいですよ!これですね」
案の定、例の投稿があった。
しかも、最初に見た時よりも反応が多くなっている。
そりゃあ、三週間もたったんだし、少しは多くなってるか。
「なるほど...めちゃくちゃ知れ渡ってますね...」
「そうですよ(泣)一体、誰がこんなことを...」
「そうですよね...そういえばあなたはわざわざこれを伝えに来てくれたのですか?」
「そうです!後で気づいて大変なことになってるよりも、今気づいている方がいいと思いましたので...迷惑でしたか...?」
「全然!わざわざありがとうございます!」
「役に立てたなら嬉しいです!そういえば、まだ名前を聞いてなかったので聞いてもいですか?」
な、名前?やばい、名前なんて全然考えてなかった!?!?
「さ、先にあなたの名前を教えていただけますか?」
「いいですよ!私は
「いい名前ですね!」
うーん...そうだ、俺の名前は陽葵って書くから、同じく陽葵はひよりって読むから、
「私の名前は、
「ひより...!いい名前ですね!私のことは気軽に慧って呼んでください!」
「分かりました!み、慧さん!私の事はひよりって呼んでください!」
やべえ...実際に女子を下の名前で呼ぶのって、めっちゃ緊張するじゃねえか...
「はい!あ、自己紹介しません?名前以外の!」
「私もそれ言おうと思ってましたー!じゃあ...っ慧さん!からお願いします!」
「はーい!高校一年生、誕生日は10月11日!15歳!趣味は、絵を描くこと!そんな上手くはないけどね!」
「そうなんですね!実際に書いた絵、見てみたいです!」
「あんまり、期待はしない方が良いと思いますけど、いつか描いてみます!」
正直、好きな子の描いた絵はめっちゃ気になる。いつか描いてくれるって言ってるし、安月さんが良いって言うまで、待っていよう。
「次は、私の自己紹介ですね!高校一年生、誕生日は5月8日、16歳。趣味は音楽鑑賞、コンプレックスは低音な声ですかね」
「低音の声私的には、良いと思うよ!個性的でいいしね!」
コンプレックス(噓)ですら、褒めてくれるなんて最高かよ。
「ありがとうございます!コンプレックスですら褒めてくれるなんて...」
「いえいえ!そういえば、さっきから周りを見てる気がしますが、嫌でしたか?」
「嫌と言うか、なんか視線を感じる気がするんだよね...」
「例の投稿のせいですかね...どっか別な場所に行きますか?」
「できれば、そうしたいです」
「分かりました!じゃあ、私の家なんかどうですかね?」
え???
あ、安月さんのい、家...?
いやいやいや、女子の家なんて普通に無理だって、
今まで女子の家行ったことないのに、女子の家行くとか、鬼畜すぎねえかあああ!?
しかも、好きな子の家...だぞ?余計に無理に決まってんだろおお
「いや、流石に会ってから一日も経ってない人の家は行けませんよ...」
「でも、ひよりさんは既に有名じゃないですか!?どこ行っても、例の美女って気づかれると思いますよ...だから、ひよりさんのためにも、私の家はどうかな!なんて...」
距離感バグってねえか!?安月さんはよぉ!?俺、男だぞ!?
あ、女って設定だったわ
いやいやだとしても、会ってから一日経ってない人を自分の家に入れるか普通!?
「ていうか、親は許可してくれるんですか...?」
「今親出張行ってるんで家には居ませんよ!」
「なるほど...にしても本当にいいんですか?」
「いいんですよ!ていうか、逆に来てほしいです!」
どうする、行くべきか?それとも、行かないべきか?
どうする、俺。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます