第15話 ヒーローネーム
「……やったぁ!」
ワンテンポ遅れて、ドラゴンソルジャーが飛びあがった。
文字通り、ジャンプって意味だけじゃなしに。
ハイテンションで跳躍して、そのまま浮いたまま
「ありがとう先輩! これからは私が助けてあげるから、安心していいよ!」
そんなことを言い残して
翼も無いのに飛行して、空の向こうに飛んで行った。
同時に、ドラゴンソルジャーが生み出した長槍が光の粒子になって消滅する。
……多分、どっかで彼女が変身を解いたんだろうな。
まぁ、色々危なっかしかったけど。
彼女が来てくれたお陰で助かったのは事実。
彼女がいなかったら、
これは心強い話だ。
……なんだけど。
なんだか、俺の心の中に、説明できないモヤモヤがあることを実感していた。
どういうことなんだろうか……?
まあ、それはいいか。
悩んでもしょうがない。分かんないんだし。
それよりも……
彼女はドラゴンソルジャーを名乗るなら……
俺はどうしようか……?
俺は鳥だから……
家に帰って、そのテーマで俺はだいぶ考えた。
ご飯食べながら、風呂に入りながら、ベッドで横になりながら……
フェニックスソルジャー?
……何かちょっと長いな……
ウイングソルジャー?
……それは違うような……
で、だいぶ長いこと考えて……
俺は「ファルコンソルジャー」を名乗ることにした。
次から俺はファルコンソルジャーだ!
そして。
次の日。
屋上で昼食。
俺の定位置だ。
昨日は色々あったけど。
今は何だかウキウキしていた。
誰か分からないけど、俺の仲間になってくれる人がいて。
それは女の子で。
しかもどうも、俺のことを知ってるらしい。
俺だってまぁ、高校生男子だし。
秘密のヒーロー活動に、仲間として女の子が加わる。
(誰か分からんけど。コスチュームで顔が見えないから)
そりゃテンションも上がろうってもんだろ。
それが顔に出てたらしい。
「何か良いことあった?」
いつの間にか。
傍に笹谷が腰を下ろしていて。
自分の弁当箱を広げていたんだ。
「えっ」
マズイ。
ニヤニヤしてたのか。俺。
キモイな。
どうしよう……?
俺は慌てる。
なのでとっさに
「ああ、ちょっと」
そんなことを言ってしまい
同時に
……それはどんな?
こう訊き返されたら詰むだろと思い、さらに焦った。
そんな質問が来たら、自然な返しが出来る自信が無い。
だけど……
その前に笹谷に
「桜田君は善い人だから、幸運が舞い込んでも当たり前だと思う」
笑顔でそんなことを言われてしまう。
うーん……
違和感が。
笹谷の方も会話が続けられなくて、無理矢理そういうことを言ったのかなぁ?
善い人……?
俺が……?
そらあ、お世辞が過ぎるだろ。
そう言うのは正直……
こそばゆい。
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