居場所

「……わかりました」


私は、ふと頬を緩めて白哉様を見た。分からないこと、不安なことはいろいろあるけれど、せっかく生かされた命だ。彼の言うように、まずはしっかりと休養を取って、心身ともに元気になってからどうすればいいか、考えていくのがいいのかもしれない。


「じゃあ、お言葉に甘えてしばらくは、体を休めるために無理せず過ごすようにします」

「うん、それがいい。仕事を山のように与えていた梅だけれど、あやめのことを心配していたからね」

「梅さんが……?」

「ああ。厳しいようで、彼女は存外心配性なところもあるからね」

「そう、だったんですか……」


薪割りに料理と次から次へと仕事を振られるから、やっぱり嫌われているのかなとも思っていたのだけれど、それを聞いて少しだけ安心した。


「ああ、それとあやめの作った料理だが、あやかしたちにも人気でね。あの野菜たっぷりの具だくさん味噌汁、食べたら元気が出ると、みなおかわりをしていたよ」

「わ、私の作った味噌汁が……?」


思いがけない展開に驚く私。だって、あやかしがどういう味付けを好むか分からなかったし、梅さんも自分でやってみろと言って全く手伝ってくれなかったから。


「あやめが作る料理にはあやかしたちを元気にする霊力が込められているようだ。僕もおいしくいただいたけれど、確かに普段食べる料理とは違う、独特の霊力を感じた」

「独特の、霊力なんて……。私、いつも通り、普通に作っただけなんですけど」


どういう理由があって、そうなったのか分からず首を傾げる。もしかして神様やあやかしたちがいる世界で、人間が料理を作ると、そんな力が生まれるのだろうか。

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