白虎の神様

そう言われ、視線は自然と下がる。そうだった。私は罪を被って、「裁きの森」へと追放されたのだった。


「それは……」


布団の端をギュッと握りしめる。「居場所なんてない」と言われると、まさしくそうで言い返せることなど一つもない。仙を守るためとはいえ、私は自分でその決断を下したのだった。


でも、命があると分かった今、仙のことが気がかりだ。


「あの、私、仙っていう子どもの頃から一緒に育った兄みたいな存在の家族がいるんです……っ。彼が今どうしてるか、どうかだけでも分かりませんか⁈」


ダメ元で聞いてみた私は、すがるように白哉様を見つめた。すると、彼は小さく息を吐いた後、「わかった」と返す。


「調べておこう」

「本当ですか⁈」

「白哉様、それは──」


喜ぶ私に、雅さんが驚いたような顔をする。だけど、白哉様が人差し指を唇に当てると、雅さんは口をつぐんでしまった。


「ただし、僕たちには『様子を見ること』しかできないよ。人間界への過度な干渉は御法度だから、君の家族だという仙が何をしていようが、僕たちは何もしない。いいね?」

「構いません……!」


どんな状態でいるのかだけでも、わかることはありがたい。と思って安心したら気が抜けたのか、体がふらりとふらついた。


「大丈夫、あやめ!」


とっさに雅さんに支えられる。


「長く話しすぎて悪かったね。あとは雅に頼むから、あやめを休ませてやってくれ」

「分かりました、白哉様」


白哉様は雅さんにそう言いつけてから、改めて私の方に向き直る。黄金に輝く澄んだ目を見ていると、思わず吸い込まれそうになりそうだった。


「じゃあ、あやめ。僕は行くから、ゆっくり休むといい」


白哉様はそういうと、そっと手を伸ばして私の頭を撫でた。その心地よさに安堵したのか、私の瞼はゆっくりと重くなってゆく。意識が途切れる直前に、「ごめんね、あやめ」と、どこか切なげに聞こえた声。それが夢か現かも分からないまま、私はそこで意識を手放した。

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