第31話 加護の儀
⸺⸺聖域⸺⸺
聖女は加護の儀の前に再び
聖女の衣と言う特別な衣装を身にまとい、独りで“祈りの間”へと入り、祭壇に登り祈りを捧げる。すると、私の魔力が祭壇を通して国中へと広がっていくのを感じた。
魔力を最大限に放出してしまうのでなく、ギリギリ広がっていくような、そんな量に調整をした。
エッケ村やローランの領土を反面教師に、加護を与え過ぎないようにとシャルル殿下とアンジェリカと話し合って決めたからだ。
聖女は欲望の象徴ではない。あくまで希望の象徴で有り続けたい。そんな願いを込めて、初めての加護の儀を無事に終えることが出来た。
「加護の儀、終わりました」
祈りの間を出て外で待機していた巫女さんへそう報告をする。
「はい! 聖女様の魔力が国の隅々まで行き渡って行くのを感じました。本当にお疲れ様でした!」
巫女さんは満面の笑みを向けてくれた。
「あの、シャルル殿下は……?」
「うふふ、いつもの部屋でお待ちですよ。加護の儀が終わったら真っ直ぐに部屋に来て欲しいと、そう仰っていました」
巫女さんはそう答えて頬を赤らめる。この後の私たちの行為を……想像してますね?
「分かりました、ありがとうございます。では……」
「はい!」
⸺⸺
シャルル殿下とはあの初めて繋がった日からほぼ毎日身体を重ねている。でも、この瞬間はなぜかいつにも増して私までドキドキしてきてしまう。
加護の儀は毎月やるみたいだけど……毎月こんなふうになるのかな……。
勇者と聖女は子孫に引き継がれる訳ではないのに、何でこうもこんなフェロモンが出てしまうんだか。
⸺⸺コンコン。
「シャル? ジェニーで……きゃぁぁっ!」
部屋の戸をノックした瞬間戸が勢い良く開き、シャルル殿下に部屋の中へと引き込まれる。
そして、キスをしながらベッドへと押し倒された。
「すまんが労いは後でさせてくれ。もう……我慢の限界なんだ……!」
殿下はそう言って私の聖女の衣を剥ぎ取って胸元へと顔を埋めた。
「ま、待って! 戸、閉めてないよ!」
「何っ!? クソッ……閉め忘れた……! もういいか、開いたままで」
「えっ、嘘でしょ!? ちょっと待って、シャル~!」
「この方が興奮するなぁ、ジェニー?」
「シャルが悪い顔してる!?」
初めての加護の儀は無事成功に思われたが、最後にとんでもないハプニングが待っていたのであった。
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