第3話 舞台裏での機ぐるみ 2
ダンボール2箱を台車に載せて、程なくして陽子が戻ってきた。
まだ、少し時間に余裕があったものの着るはずだった直樹も着ていない機ぐるみ。
早速、美樹の手も借りて真希に着せていく事になった。
アンドロイドの機ぐるみとは違い角張っている。
そして、同梱されていたインナースーツは海女さんが着ているようなウエットスーツだった。
フードも入っており顔だけが出るようになっている。
一度、アンドロイドの頭部を外して、アンドロイドのゴムのインナーだけでガンダムの頭部を被ってみたが、中は空間があまり過ぎてガンダムの頭部がぐらつく程だった。
そこで、ウエットスーツのフードを被ってもやはり結果に大差はなかった。
アンドロイドの機ぐるみを完全に装着した状態でないと、ガンダムの機ぐるみを着ることができないという結論に達した。
アンドロイドの機ぐるみを着た上に、2人がかりでウエットスーツを着せようとするが、曲がらない関節、滑らないFRPのボディ、おまけに体に微妙な凹凸もあり、到底着せられないように思えた。
しかし、陽子は何かを思いついたようで、突然控え室を飛び出していく。
程なくして戻ってきた陽子の手にはローションのボトル。
息を切らせながら陽子が言う。
「これを使えば着せられるかもしれない」
「アンドロイドの機ぐるみに影響出ませんか?」
美樹が尋ねる。
「今はとにかくガンダム優先で!」
「イベント会場の横を通ってきたけど、もうお客さんいっぱい入ってて、後には引けないから」
ウエットスーツの中にローションを流し込み、真希に着せていく。
「入った!」
陽子と美樹が声を上げる。
先ほどとは比べものにならないくらいスムーズにアンドロイドの足がウエットスーツへと入っていく。
ウエットスーツを着せ終わり、次はガンダムの機ぐるみ。
まずは足から。
アンドロイドの時と同じように前後でパーツを噛み合わせていくのではなく、左右からパーツを噛みあわせていく、そしてそれらのパーツはすべてネジ止めになっている。
足、脛、膝、太ももといった具合に順番にパーツ毎を重ね合わせる事で、各部が可動できるように作られていた。
腕の部分も手先から順番に組み上げてから、頭を取り付ける。
最後に両足、両腕、頭をガンダムのボディの中へ組み込むようにして、しっかりりと10箇所以上にも及ぶネジ止めを行っていく。
ボディのパーツが外れるない事には、真希はこのガンダムの機ぐるみを脱ぐことはできなくなった。
あまりにもガンダムの機ぐるみの手足を組み上げるのに時間を要し、気づけばもう開演の時間が迫っていた。
ガンダムでもMCを勤めることになっている美樹は、ボディのパーツを重ねた後、ネジ止めを陽子にお願いして、トイレへ行ってしまった。
陽子は不慣れながらも、急いでネジを止めていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます