第3話 友人Aの証言

 ええ、私は相模神奈ちゃんと同級生で、親友でした。

 神奈ちゃんは大人しい子で、いつも本を読んでいたイメージがあります。クラスの騒がしい集団とは距離を置いて、一人で本を読んでいる姿をよく目にしていました。

 私も騒がしいのが苦手で本を読むのが好きだったので、神奈ちゃんとは相性がよかったんです。読む本の好みも服の趣味も合って、親友になるまでそう時間は掛かりませんでした。

 神奈ちゃんの様子がおかしくなったのは事件の3日前くらいのことです。私達はよく自宅の固定電話で連絡を取合っていたんですが、その日の神奈ちゃんは電話越しでも分かるくらいに憔悴していました。

「怖い」「お母さんがおかしい」「ついてきてる」って、いまいち要領の得ないことばかり言って、こちらの話を聞いてくれないんです。私も意味が分からなくて、怖くなって、強引に電話を切ってしまいました。それが神奈ちゃんとの最後の会話です。

 それ以来電話が繋がらなくなって、家を訪ねようとも思ったんですが当時は母が病気で入院していたので色々と忙しくて。結局何もしませんでした。

 ・・・今にして思えば、あの時無理にでも神奈ちゃんに会いに行っていれば。あんなことにはならなかったんじゃないかって。

 もう、遅いんですけどね。後悔しても。

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