第十話 接触 其の二
20XX年、ある一つの法案が可決された。
その内容というのが、「重大犯罪者増加に伴う、死刑執行の簡易化」
具体的に、ある規定を満たした者への死刑執行が裁判を通さずにできるようになる。
だが、誰も彼もが執行できるようになるわけではない。迅速、かつ実力のある者のみが、執行対象の手配犯を見つけた時のみ、執行をすることができる。
その組織の名をSES、正式名称、特別死刑執行隊である。
そして、そんな人が今、僕の目の前にいるわけだ。
「SESが、僕になんのご用ですかね…?」
「知らないのか?被呪者が
そんな無茶苦茶なことがあるのか、?
いや、これは知らなくても仕方がない。何せSESという組織は存在は知っているがその殆どの詳細は分からない秘密組織。
被呪者のその後などは考えたこともなかったし、SESが普段具体的にどのような活動をしているのかすらも知らない。
「さ!大人しくしろよー?それか───せいぜい踊ってくれよっ?♡」
「っ──!?」
奴は胸ポケットから小さな小刀を取り出した。
──その瞬間までは見えた。だが、そこからが見えなかった。
いつの間にか、僕の左脇腹が切りつけられていた。
「っ…!?いっ…!たい!!」
やばいやばいやばい!痛すぎる!!
もはや痛いというより出血してる場所、その一体が燃えるように熱い。
左脇腹が赤く染まっていく。あの公園での倉本さんから流れる鮮血を思い出す。それも相まって冷汗がどんどんと出てくる。
「──つまんねーの。その程度か?能力使えよ。」
「──のう……りょく…?」
能力とは未来予知のことか?だがあれの発動条件が分からない。自分の意思では…まだできない。
そして、僕が脇腹を押さえそこから血が流れるのを見て、周りの街の人達はぞろぞろと立ち去り、逃げ出していく。
「キミの力ってさ、どーにも危険な香りするんだよね。どーゆう能力なんだい?」
僕は刺されたところをしっかりと抑えながら、ゆっくり言う。
「未来が…見える…。」
そう言った瞬間、空気が一変した。さっきまでどこかだらだらとしていた奴も目を見開く。
そして、一瞬で、ポケットから通信機のようなものを取り出す。
「こちら、佐々木一等執行官。一等権限により準執行対象者を執行対象者へと繰り上げ。ただちに執行にかかる、以上。」
なに!?執行対象者は即死刑が当然の極悪犯罪者にしか適用されないはずなのに!
僕はそれに値すると言いたいのか!?
「お前が能力を使う前に確実に狩る。──安心しろ。傷みも感じんくらいすぐだ。」
あぁ、これは、もうさすがに死を覚悟するしかないか。
そう思ったとき────なんと世界は停止をしていた。
「ボクの街でさ、ギャーギャー騒ぐなよ。───わんころが。」
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