第九話 接触 其の一

 さて、これからどうするか、だな。




 まずインターネットを見ていて分かったことが一つ。


 僕のように呪いを受けた人。通称『被呪者』は、かなりの数がいるとのこと。


 そして、被呪者たち同士で助け合う団体もある、ということ。


 


 僕はまずその団体のもとへと向かうことにした。




 正直、僕のようなコミュ障でも上手くやっていけるか不安だったがなによりも、一人でこの苦しみを味わう、というのが辛かった。仲間が欲しかった。




 それに、なにか僕の知らない情報もあるんじゃないかと思ったからだ。


 


 「ここから近いのは──隣の区域、六区の子ども食堂『シオン』か。」




 子ども食堂など、やれるものなのか?殺意を抱いてしまうのに?と思った。だが、もしかしたら何かそこに秘密があるのかと思い行くことを決心したのだ。








 その時だった。一つのニュースが流れてきた。




 「数日前、五区の日野田広場にて女子高生を刺殺した疑いのある男を逮捕しましたが、昨日自ら命を絶ちました。男は自首をしており、『手紙が遺されていた』との情報です。」


 


 死んだ…?しかも自首をしただと…?一体何がどうなってるんだ。


 正直僕はいろいろなことが一気に押し寄せすぎて疲れてしまっていた。




 「いや…もう気にするな。今は行かなきゃ。」




 そう。もう今は進むしかないのである。手紙の内容はかなり気になるが、必ずいつかその内容も暴いてみせる。


 そこに、この呪いについて記されているかもしれない。




 




 そして、僕は子ども食堂のシオンに向かって移動を始めた。


 できるだけ、人を見ないようにと、気をつけながら。




 「正直…これ怪しまれてるんだろうな…」




 僕の今の姿は買い物行ったときと同じのサングラス。


 そして、匂いからも殺意を抱いてしまうと分かり、マスクもしていた。




 (あぁッ…!ほんとに周りの視線が痛い…早く行こう…!)




 周りの視線に耐えつつ、僕は隣の六区へと移動することができた。




 「やっと着いた…!もーちょっとだ!」


 そう意気込み、その重たい足を踏み出した。










 その瞬間だった、耳元で一人の男が囁いてきた。




 「キミだったんだね。呪いをそんなに溢れさせちゃって♡」




 すぐさま、背筋が凍り、これはまずいと理解した。いや、理解させられた。




 言葉遣いが気持ち悪いとかではなく、圧倒的な威圧感、絶対的強者。




 見た目は普通の男で、紺色のスーツを着ている。そこに赤色のラインが入っていて、胸元に赤色のブローチを着けていた。年齢は二十代後半だろうか。



「キミ、制御器リミッター着けてないの?探知機にびんびんに反応してたよ?」




(リミッター、!?なんのことだ…?)


 「お、お前は誰なんだよっ…!」




 正直、今すぐにでも逃げ出したいがここで逃げたら更に危険性が増す。




 「SES──っていえば分かるかい?」






「なっ……!?」


 その言葉に僕は、思わず絶望していた。

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