第六話 追懐:荒木結翔 其の二
友達になった僕たちはあの日から毎日遊ぶようになった。
しかも、僕が他のクラスメートと仲が良くないから、と他の友達は誘わずに二人きりで遊んでいた。
「何故そこまでしてくれるの?」と聞いてみたら、「今まで遊んだことなかったし、その分だ!」と、めちゃくちゃなことを言っていたが、その言葉がとても嬉しかった。
遊んだこととしては、子どもらしく公園で遊んだり、雑談したり、映画を観に行ったり…いろんなことを経験させてもらった。
何より一人で遊ぶには経験できないような高揚感と言うのだろうか、そういうものが初めて味わえてとても楽しかった。
しかし、当然、だいちゃんの他の友達からしたら急に現れた根暗な奴に大事な遊び仲間を取られることは、かなり気に食わなかったようで、
それが災いを呼び、ある一つの事件を起こしてしまった。
僕はその日もだいちゃんと遊ぶ約束をしていた。
「じゃあ、家帰ったらすぐ二宮くんの家行くねっ!」
「おうー!てか荒木ぃ、苗字呼びやめようぜー?なんか堅苦しいわ!」
「…二宮くんも苗字呼びじゃん。」
「俺はいーんだよ!荒木って呼びやすいから!」
あ、相変わらずめちゃくちゃだった。しかし、これで人を惹きつける魅力がある、というのがやはり二宮大貴の凄いところだ。
そして、僕が廊下に出たところで、クラスメート、清峰くんに呼び止められた。
「荒井くーん、ちょっとお話できるー?」
「できます…けど…どうしました?」
あと、僕の名前荒木だ。と言えないのはやはりまだ悪い癖が抜けてない。
「なに、ちょっとね?」
「っらぁ!」
なんとなく…薄々勘づいてはいたが、学校の校舎裏に着き、直ぐ様殴られた。
清峰くんはもともとだいちゃんと仲良くしていた一人だった。
「おい、てめぇさ、勝手に人のダチ奪ってんじゃねぇよ。なあ!?おい!!陰キャがよ、イキんなよ。」
ああ、これで、もうだいちゃんとの付き合いは終わりだ、本気でそう思った。
むしろ、こんなにも幸せな日々を少しでも感じさせてくれたことに感謝だ。
もう───これからはまた一人ってだけ。もとに戻るだけなんだ。
「───ごめん。僕が…君と二宮くんとの時間を奪って…もう…関わらないようにするから。」
「はっ、分かりゃあいいんだよ。──んじゃ!これからてめぇは俺の奴隷だ。」
「っ…え?」
「え、じゃねーんだよ。はい、気に障ったから教育ー!」
そう言い、また僕に殴りかかろうとする。
──しかし、その寸前でその拳は止められることになる。
「よお、キヨちゃん。お前のパンチ、汚れちまったな。」
やっぱり、君は僕が困っているとすぐ駆け付けてくれるね───
「二宮…くん…!」
そう言うと、こっちを見て少しニコッと笑い、
「わり、ちょっと遅れちゃったな。」
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