第4話闇の試練



進むにつれて、森の空気が重く感じるようになってきた。濃い霧が立ち込め、光がほとんど届かない。あの泉での出来事が頭をよぎる。「真実を知る者は、力を手にする。」この言葉を胸に刻みながら、俺は立ち止まることなく一歩を踏み出す。


道を進むごとに、周囲の木々が顔を見せる。暗い影が動く度に、心臓が高鳴る。この森は、ただの森ではない。俺を試すために存在する、意志を持った場所のように感じる。腕を組み、身を引き締め、「俺はここにいる。脆くはない。」と自らに言い聞かせた。


突然、前方から低い唸り声が聞こえてきた。暗がりの中に、一対の glowing eyes(光る目)が俺を捉える。何か生物を感じさせるそれは、まるで俺を狙っているかのようだ。背筋がぞくりとした瞬間、何かが襲いかかってきた。


「来るな!」俺の声は、不安を消すための呪文のように響いた。木々を裂くように、黒い影が目の前に現れた。それは、まるで恐ろしい獣のような形をしていた。鋭い牙と爪、人間の姿を知る俺には理解できない、その恐怖の象徴。


俺の心は恐怖に支配されそうになる。だけど、泉での経験が思い出された。「俺は影じゃない。運命を変えると誓った」その思いが燃え上がり、俺は前に出た。腕を振り上げ、踏み込み、影と向き合う。


「来い!」俺の声が発声する。同時に影が突進してきた。心の中で戦う自分と、自分を押し潰そうとする恐怖がせめぎ合った。闘志を燃やし、俺は身をかがめ、影をかわそうとする。狙いを定めて、瞬時に反撃をする—光の瞬間を求めて。


その瞬間、影の動きが鈍った。俺の動きが正確だったのか、それとも何か特別な力が働いていたのか。いずれにせよ、攻撃の隙間を見つけた。再びそれに向かい、その心の内を感じるように集中した。恐怖を感じるのではなく、寧ろその影の中に潜む真実を探ろうとした。


それは、俺の心の中の影そのものだった。孤独、罪悪感、自分の無力さ。それらがその恐ろしい獣の正体だった。「お前は俺の一部なんだ。俺が認めなければならないもの。」直感的にそう思い、影を抱きしめるように、さらに踏み込んだ。


「俺の力はお前を克服することじゃない。お前を理解することであり、それを受け入れることだ。」


影は苦しむように唸り声を上げたが、徐々にその形は小さくなり、最終的に霧に溶け込んでいった。不思議な感覚と共に、俺は力を得ているのを感じた。力、真実への道は、過去の影を受け入れることでしか見出せない。


森の静寂が戻る。もう回り道はしない、俺は進むことに決めた。闇を乗り越えたその先に、さらなる試練が待っているだろうが、もう恐れることはない。


「次は何が待っているんだ…」確信を持ってつぶやく。運命の扉が開かれ、真実の旅は続く。


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