第2話新たな仲間


第2話: **「新たな仲間」**


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僕はリリィに導かれ、緑あふれる草原を進んでいた。空には二つの月が高く輝き、異世界の美しさが心に広がる。しかし、その美しさの裏には緊張感も漂っていた。リリィの言葉通り、僕たちは何か大きな危機に直面しているのだ。


「アオリ、まずは私の仲間たちに会いに行きましょう。」リリィが言った。彼女の目には期待が宿っている。


「仲間? つまり、他の星の使者たちのこと?」僕は興味が湧き、思わず質問をした。


「そうです。私たちは協力して力を合わせないと、闇の使者たちには勝てませんから。」


草原を抜け、森へと入っていく。木々の間から差し込む光が美しく、時折その光を透かして鳥たちがさえずる音が耳に心地よい。しかし、心のどこかに緊張が漂っていた。僕は、この旅がどれほど危険で、どのような仲間たちと出会うのか、想像もつかなかった。


しばらく歩くと、リリィが足を止め、目を輝かせて言った。「ここが、私たちの仲間のいる場所です。」


目の前には小さな村が広がっていた。村は温かな雰囲気に溢れ、人々が楽しそうに笑い合い、忙しそうに過ごしている。村の中央には大きな広場があり、そこには石の祭壇が立っていた。リリィの表情が柔らかくなった。


「この村は『エルナハ村』です。私の友達が住んでいて、彼らも星の使者の力を持っています。」


「友達って、どんな人たち?」僕は期待と不安が入り混じった感情を抱えながら訊ねる。


「きっと素晴らしい仲間たちだから、会うのが楽しみになりますよ!」


リリィの言葉に勇気をもらって、僕も前に進む。広場に近づくと、騒がしい声が聞こえてきた。視線を向けると、数人の若者たちが集まっており、笑い声や声援が飛び交っている。


「アオリ、あの中央にいるのがカイです。」リリィが指差したのは、剣を手にした少年だった。彼は引き締まった体と冷静な目を持っていて、周囲の人々を見守るような姿勢で立っていた。彼の強さが感じられた。


「彼が火の星の使者です。冷静で、誰よりも頼りになる存在なんですよ。」


僕は一瞬心が躍った。この新しい仲間がどのような力を持っているのか、会うのが待ち遠しかった。


「カイ!」リリィが元気に声をかけると、彼は振り向き、驚きの表情を見せた。


「リリィ! それに君は…?」カイは眉をひそめた後、思い出したように言った。「新しい仲間だね。アオリって名前だよね?」


「そう! アオリは星の使者として召喚されたんだ。」リリィが誇らしげに答える。


カイは僕を真剣な目で見つめた。「召喚されたのか。君の力がどれほどのものなのか、まだ分からないが、これから多くの試練が待っている。」


その言葉が僕の心に重くのしかかった。試練という言葉は、冒険小説では魅力的に響くが、現実として受け入れるにはあまりに厳しかった。


「それにしても、君が本当に『星の使者』なのか始めは疑ってしまった。」カイが続ける。「でも、リリィを助けてくれるなら、僕も手を貸す。お互いに助け合わないと、生き残れない世界だから。」


少し安心感が増し、僕は頷いた。「僕も頑張ります。」


その後、村の一角で様々な声が耳に入ってきた。子供たちの笑い声、大人たちの真剣な議論、そしてどこか神秘的な雰囲気。村の人々もリリィやカイを心から信じているようで、彼らの目にはこの世界への希望が込められている。


「皆で一緒に力を合わせることが大切だから、次に会うのはもう一人の仲間だ。」リリィが言った。


「もう一人の仲間?」僕はまた興味をそそられた。


「そう、私たちの冒険を共にする、時間の星の使者、イリスです。」リリィの瞳が期待に満ちていた。


「イリス……ただ者じゃない名前だね。」


「彼女は特別な力を持っていて、未来を見通すことができるんです。この力が、私たちの旅をより安全に進める助けになる。」リリィの言葉に僕は少し安心した。


「どんな形でも、この旅を共にする仲間が増えることが大事だね。」カイが結論づけると、僕の心にも新たな決意が生まれた。


新たな仲間、そしてこれからどんな試練が待ち受けているのか。感情が高まる中で、僕たちは次の目的地に向かう準備を整えた。恐怖と期待、両方の気持ちを胸に抱きながら、未来に向かって一歩を踏み出した。


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こうして、アオリの仲間たちとの新たな出発が始まるのだった。

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