第33話 お役目...

ある日の出来事です



仕事中に突然

体が反応し始めて...


初めは『いつもの事』と

気にしていなかったのですが

だんだん反応が強くなり

一番近くにいた男の子に聞いてみました


『ねえ...変な事を聞いてもいい?

不思議体験とかしたことある?』


『俺?全然無いっす!』


その答えを全て聞き終わる前に

その反応の出先は

隣の女の子だと気付きました


『あっ?あなたじゃない!

あなたね!』って


女の子を指さしたら

みんなが爆笑しました


『おまえじゃないってよ!』って


『うん!

俺 そんなの一回も無いっす。』って


その無邪気な笑顔に

思わず私も吹き出しちゃいました



それにしても

とても分かりやすく反応するので


『帰りまでに何か分かると思うから

気になることがあったら言ってみて。

違っていたら無反応だけど

当たっていたら反応するから。

今すごくハッキリと反応しているから

どなたか強い想いで近くに来てる。』


そう女の子に伝えました


女の子は待ってました!とばかりに

昨日今日家族に起こった事を

私に話し始めました



昨日の夜...

数年前に亡くなったおじいちゃんが

夢でおばあちゃんを起こしに来たと...


ご両親は揃って夢の中で

おじいちゃんに背中を押されたと...


『今朝...揃って家族がそう言うので

怖かったんです。

おじいちゃん...

彷徨っているんでしょうか?』と...


『おばあちゃんに何かあるんでしょうか?

それともお父さん?お母さん?ですか?』と...



必死に聞いてくる様子を見て

側にいらしている方の本気度も

伝わってきました



『大丈夫よ。怖い事じゃないから。

私...今 全然怖くないから!

それと...おばあちゃんでもご両親でもない。

間違いなく おじいちゃんが

あなたに何かを伝えて欲しくて

私の所に来てるの。

反応の強さからして伝えたい想いも

相当強いから大丈夫よ。

きっと帰りまでには分かるから。』


そう伝えた途端

女の子の目には涙が...


『私の仕事のことですか?

おじいちゃんは私の職場のことは

あまりよく思っていなかったんです。』


今いるこの職場のことではなく

本当にやりたい仕事のこと...


『確かに仕事のことで反応はするけど

生きていた時に反対していた気持ちが

どうやら亡くなってから変わったみたい...

反対だ!という事を伝えたいんじゃなくて

今はむしろ応援してるって

自分が見つけたやりたい事を

思いっきり頑張りなさい!って

おじいちゃん...そう言ってるよ。』


そう私が伝えた時


『そうですか...』と


何故おじいちゃんが

反対しなくなったのか...

不思議なようでした




その時...


私が感じている事を

伝えました


『生きている時は

自由に動き回ることが出来ないけど

亡くなった途端...自由に何処へでも行ける。

だから今もあなたが働くここに来れてるでしょ。

あなたが本当にやりたい事をやめて

違う事をして生きている姿を見て

おじいちゃん...俺は間違っていた!って

気づいたのかもしれない。』


『おじいちゃん...苦しそうですか?

悪い病気で苦しんで亡くなったんです。』


『ううん!おじいちゃん

ニコニコしてるよ。』


そこまでの会話をしたら

女の子は泣き出しました


『おじいちゃんが亡くなった日の朝...

おはよう!って挨拶して私...

専門学校に行っちゃったんです。

学校...休まなかったんです。

おじいちゃんに悪いことしちゃって

ずっとその事が頭から離れないんです。』...と



その時...

それまで以上の反応が始まり

全ての謎が解けました



何故...おじいちゃんは

苦しい病気で亡くなったのに

ニコニコしているのか...


何故...おじいちゃんは

反対していた仕事への想いが

変わったのか...


何故...おじいちゃんは

女の子以外の家族を昨夜

起こして回ったのか...



『あ〜!そういうことね。

その日...おじいちゃんが亡くなった日...

おじいちゃん

あなたと一緒に学校に行ってるわ。


まだ体はお家にいたけど

その時点でおじいちゃんは

今日でお別れだって分かってたの。


可愛い可愛い孫娘と一緒に

学校に行けた事...

そこであなたの夢に向かって勉強する

頑張る姿を見れた事...


おじいちゃん...

すごく嬉しかった。


その時に自分が反対していた事を

後悔した。


おまえが自分で見つけた夢を

叶えて欲しい。


先ずはそれを伝えて欲しいって!


それから...

学校にいる時に自分が亡くなったと知って

帰ろうと思ったけど


今...慌てて帰って来なくても

学校が終わってからで良いよ...と

あなたに伝えたのは

その時に電話で話した

お父さんでもお母さんでもないの。

おじいちゃんなの。

だって...おじいちゃん

お家からずっとあなたと一緒に

学校に来ているんだもの。

夢を叶える為に頑張る孫娘の姿を

もっと見たかったんでしょうね。

そして学校からおじいちゃん...

あなたと一緒にお家に帰ったの。』



そこまで伝えた時...

さらに反応が強くなって


『おじいちゃんが昨日の夜

あなた以外の家族を起こして

今朝...大騒ぎになって

何かあるのかな?と思わせた理由が

分かったわ。

おじいちゃんがあなたに

一番伝えて欲しい事...


それはね...

おじいちゃんのことで

泣かないでくれ!って


あなた...

どこかで小さい子とおじいちゃんが

一緒にいる様子を見ては

泣いているでしょ?


亡くなった日の事を後悔して

泣いているでしょ?


泣かないでくれ!って


おじいちゃんはあの日...

ずっとおまえと一緒にいたんだよ。

おまえが頑張る姿を見て

おじいちゃんは嬉しかったんだよ。

だから...泣かないで!って


それを一番伝えて欲しいって!』



そう伝え終えた時...

最初 茶化して話を聞いていた

男性スタッフ達が


『すごい良い話で俺...泣きそう...

ふざけた事...言えないわ』って



女の子も涙を拭いながら


『良かったです。

おじいちゃん...私のこと

怒ってないんですね。』って


『可愛い可愛い孫娘が

自分のことをずっと背負って

泣いている姿を見たら

おじいちゃん...たまらないでしょう』


女の子に笑顔が戻った時

私の体の反応も消えました




体力的には

すごく疲れたけど


ちゃんと

お伝えする事が出来て

良かったです


幼い頃から大嫌いなこの体質だけど

こうしてお伝え出来たこの瞬間は

『良かった!』と

感じる事が出来ます





『深入りするな!

私には何も出来ません!と言え!

おまえの体が壊れてまう!

霊能者だったひいおばあを

いつも側で見ていたから

俺は言うんや!』って


あなたは

いつも心配してくれるけど...



あちらの世界から

私はどう見えるのでしょうか...?


幼い頃からの不思議体質の私は

こうして見ず知らずの方に選ばれて

『霊媒』としてのお役目を

頼まれるのです



今回もおじいちゃん...

みんなを夢の中で起こし回って

不思議だと朝...騒がせて

仕事場で私と孫娘を何としても

繋げたかった...


だから...


おじいちゃんの孫娘への

『愛の深さ』が

私の心に届いたのです





今回も無事...

お役目を果たせました


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