第23話:断罪

俺は広間に集合していた悪パーティの前に進んだ。

あいかわらず全員黒くて威圧感のある姿だ。

何の意図があるのかわからないが、バルクは通路から出ずに姿を隠したままだ。


「一体何の用で?俺があんた達に呼び出される覚えはないんですが。」

俺には彼らに絡まれる覚えはない。


すると彼らは手足を縛った黒装束の人物を突き出してきた。

「こいつに見覚えはあるか?」


戦士マルトは床に転がっている黒装束の頭を掴み俺の方に向けてきた。

よく見るためにしゃがんで顔を確認する。

茶髪でショートカットの幼い顔立ちの女の子だが、まったく見覚えはない。

能力鑑定をしてステータスを確認すると、俺に矢で攻撃してきた人物だというのはすぐわかった。

盗賊のティアというらしい。


「いや・・・知らないな。」

「そうか・・・こいつがお前を攻撃しているところを見て捕まえたんだが、あの状態では顔は確認できないか・・・。」


彼女は何かを話したいようだが、さるぐつわをつけられているので「ムゥー、ムゥー」としか聞こえない。


「彼女は何か言いたそうだ。さるぐつわを外してくれないか?」


マルトは彼女の体を暴れないように抑えたまま、さるぐつわを外した。

その途端に堰を切ったように話し始めた。

「ち・・・違うんです。私は攻撃した訳ではなくてコボルトに襲われていたから援護しようとしたんです。」

「しかし、その前に後ろから俺を殴ったよね?それはどういう事かな?」

「俺達はお前が後ろから殴りかかった時から見ていた。言い逃れは出来ない。」

「その・・・通路って暗いから、モンスターだと思ったんです。」


(たしかに通路は暗かったし、弓矢が命中したのはコボルトだったけどそんな事ありうるのか?いくら何でもドジっ子すぎるだろ。)

しかし、その可能性も否定は出来ない。


「知っているだろうが、迷宮内での冒険者への攻撃は重罪だ。軽くて追放、重いと死刑になる。もし明確な攻撃意志があって嘘をついていた場合・・・どうなるかわかるよな?」

「い・・いたいです!や、やめてださい!」

そう言って彼女の掴んだ頭に力を入れるマルトは、威圧的な鎧も手伝って恐ろしかった。


「殺意があったんだよな?そうだよな?」

「い、いたいぃぃぃいいいい!」


小手が頭に食い込み見ていて苦しくなる。

これは完全に自白を強要している。

さすがに止めようとすると、割って入った人物がいた。


「それでは自白の強要です。良くないですね。」

黒い神官服に身を包んだ金髪碧眼の優男、癒術士ハークルだった。




























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