第16話:グルス
俺は刀を購入したあと、甲冑も購入した。
足、腕、胴体、額当てのセット品を試着したが、それほど重くなく動きやすい。
試着したピッタリのサイズが展示品のみとの事で購入を決めてしまった。
「購入するのか?結構するぞ?」
「生存率を高めるために防具を買っとけっていったのはグルスさんじゃないですか。」
「まあ、そうだけどよ。金・・・大丈夫か?」
「金をケチって迷宮で死んだら意味ないと思いまして。他に有用な物ありますか?」
「ああ、それなら魔石の指輪なんてどうだ?体中を魔力のシールドが展開してある程度なら衝撃を緩められる。」
「いいですね!」
俺はその場のノリでショッピングをしまくった。
「しめて金貨41枚、まあキリよく金貨40枚にしておくよ・・・しかし本当に大丈夫か?」
金貨40枚ってことは400万?やばい・・・転生前の貯金額を上回っている。
いいのか?一時のノリで散財しても・・・大丈夫なのか?
「購入します。」
大丈夫だ、問題ない。
まだ金塊は山ほどある。
「そうか、それはありがいけどよ。なんでそんなに金を持ってんだ?冒険者として駆け出しにしか見えないが・・・家が金持ちとか?」
その疑問はもっともで、調子にのって大金を使ったのは失敗だった。
大金を持っていると、だいたい悪い事をして稼いだと思われるのが社会というものだ。
下手したら犯罪行為を疑われるかもしれない。
なんとか誤魔化さなければ・・・。
「実は迷宮で俺のパーティは全滅したんです。それで、俺だけ生き返ることが出来ました。」
「なに?それは大変だったな・・・。」
「ただ、いざという時のためにみんなで集めたお金だけは別の所に隠していたんです。」
「そうか・・・しかし結構な大金だな。迷宮の魔石はたしかに高額だが、そこまで稼いでいる冒険者には見えない・・・っと失礼だったか?」
「いえ、その通りです。このお金は冒険者で稼いだわけではなくて、仲間達の実家の仕送りを貯めておいたのです。」
「という事は、仲間の実家が裕福だったって事か?」
「その金を使っていると知られると印象が良くない・・・だからこの事については黙ってて欲しいので、お願いできますか?」
「どうも昔のくせで余計な事を聞いちまったが、本来は店員が聞く事ではなかったな。特に冒険者みたいな命を懸けている連中には禁句だ。」
「それでは承知してくれますか?」
「もちろんだ。変に漏らしたらお得意さんを逃しちまう。」
「ありがとうございます。また何かあったらご相談させていただきます。」
「礼には及ばんよ、こんだけ売れたら俺の成績は爆上がりだからな。何か欲しけりゃ何でも相談にこい。とはいえ金は大事にしろよ。」
「忠告ありがとうございます。」
俺達は固い握手を交わした。
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