第14話:価値
オオクラ商会で色々見て回ってだいたいの価値がわかった。
この街の通貨は銅貨、銀貨、金貨があり、日本円の価値に変換すると、
銅貨=100円 銀貨=1000円 金貨=10万円
となっているようだ。
つまり俺が女神からもらった50ゴールド(金塊)は、
50ゴールド=金貨5500枚=5億5000万円
となる。
人が一生かけても手に入るかわからないお金だ。
(もう働かなくていいかも・・・って税金とかあるだろうから一生は無理かな?)
とはいえ好きな事をいくらでもできる財力を手に入れたのは確実である。
(そもそも何で俺はこの世界に来たんだっけ・・・そして俺の願いは何だったんだっけ・・・。)
まず、この世界に送り込んだ女神様の願いは世界を危機から救う事。
そして俺の願いは女性に愛される事・・・それと前の人生のように会社の奴隷じゃない事。
(この世界が危機なのかは今のところわからないな。そして俺の願いは今の財力があれば叶えられそうな気がする。)
なんとなく女神様が送り込んだ勇者が世界を救わない理由がわかった気がした。
「お客様、次はどういたしましょうか?」
「ずっと拘束してすみませんね。ここまでしてくれるとは思いませんでしたが、俺に紹介状をくれたブランさんって実は凄い人なんですか?」
「ええ、ですので何かありましたらこの私にお申し付けください。」
結局ブランさんが何者かははぐらかされた気がするが、ここまで親切にしてくれるのは俺が金を持っている事を聞かされているからだろう。
「そろそろ武器防具も見てみませんか?いい物が揃っていますよ。」
冒険者に武器防具を進めるのは当たり前だが、財力があり危険な事をする必要がない俺には無駄な事だと思えた。
(でも武器って聞くとワクワクするな。見るだけなら問題ないか・・・。)
「わかりました。見るだけでもいいですか?」
「もちろんです。他にも戦闘用アイテムも充実していますので見ていってください。」
◇◇◇
武器防具を売っている場所は広く、まるでスポーツ用品店のように鎧や剣が飾られていた。
見栄えがする外装だが、殺しの道具を飾りにしている空間に違和感を感じた。
しかも、女性店員がにこやかに客の対応をしており、無骨で不愛想なおっさんが店長をしているゲームのイメージとはまったく違っていた。
「どうでしょうか?高品質かつ美しい外見が売りの武器防具たちです。」
「たしかに装飾が美しいですね・・・。」
(見た目では性能がよくわからないな。そういえば能力鑑定の指輪で鑑定出来たりしないだろうか?)
近くの武器に集中して鑑定してみるが何も表示されない。
アイテムは対象外の可能性があったので、店員の能力も鑑定してみても何も起こらない。
壊れたかと思い周りを見渡してみると、視界に厳つい男が映った。
丸坊主の中年の男で、着ている制服がはちきれんばかりの体格をしていた。
(なんだ、この男は雰囲気が他の店員とはまるで違う。)
ためしに能力鑑定してみると、戦士レベル15のステータスが表示された。
(戦士レベル15?強い!なんでこんなおっさんがいるんだ?)
「彼は何者ですか?」
「ああ、彼はここの責任者グルスです。」
彼は手招きで厳ついおっさんを呼び寄せると、
「グルス、この方はセイシロウさんだ。」
「はあ、どうも」
グルスは気のない返事をして興味なさそうに俺を見る。
「申し訳ありません、失礼な男で。」
「ああ、いえ・・・。」
「ただ武器を見る目は確かなので、彼に装備品を選んでもらうのはどうでしょう?」
店員としてはダメそうだがレベル15は只者ではない。
「わかりました、お願いします。」
「うーんそうですか・・・それならついてきてください。」
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