第9話:冒険者ギルド

俺は地図を片手に街を歩いていた。

街の名前が「ヒノモト」と言うわりには俺の好きな「ソーサラー」のような西洋ファンタジー風な街並みだった。

しかし、その外観の雰囲気とは違い看板などは日本語で記載されており酷く違和感があった。


(しかし、こんなボロイ服なんて無料でくれればいいのにケチな寺院だな。)


結局、服とサンダルを買わされたのだが、小汚いうえにサイズがあってないせいか動きづらい。

値段は銀貨50枚で、金貨1枚を出すと銀貨50枚のおつりだった。

つまり金貨1枚=銀貨100枚という事になる。


(しかしこんなボロイ服が銀貨50枚なら金貨1枚の価値もそれなり・・・ゲームの50ゴールドよりははるかに大金だけど、豪遊とまでは無理だな。)


考えごとをしながら歩いていると、「探索区」と記載している看板がある場所にたどりついた。

どうもそこまで明確な境界線はないらしく、その看板だけが目印らしい。


「えーと、ここから少し歩いたらつくはずだ。」


地図はそこまで詳細ではなかったが、道が整理されているため目当ての建物はすぐ見つかった。


「ここか?思ったよりしっかりとした建物だな。」


2階建ての灰色の四角い建物で、古そうだが見た目に華がない分頑強そうに見えた。

入り口には「冒険者ギルド」という看板が立っており、俺が探している場所に間違いない事がわかった。


入ると受付が何個かあり、書類を記載するための机と長椅子が規則正しく並んでいた。

イメージとしては日本の市役所によく似ていた。

受付で対応している人はおそろいの制服を着ており、相談している人や長椅子で座っている人は俺のような布の服などの軽装だった。


(冒険者ギルドっていうから、武器や鎧付けた人がウロウロしていると思ってた。)


俺がどうしようか迷っていると、制服姿のくたびれた男が声をかけてきた。


「セイシロウ、久しぶりだね。寺院から蘇生が成功したって聞いてたんだが、実際見るまで信じられなかったよ。」


この男は俺の事を知っている口ぶりだが、当然俺は心当たりはない。


「仲間達は蘇生出来なくて・・・その・・・残念だったな。どんな事でも相談にのるよ。」


仲間達は死んだようだが、誰なのかも知らない。

このまま会話を続けたら、すぐにボロが出そうだ。


「すいません、どうも蘇生して軽い記憶喪失らしくよく覚えてないんです。」

「そりゃあ・・・寺院に行って見てもらった方がいい。蘇生にそんな欠陥があったら大問題だ。」

「いえ、いいです。つらい記憶なら思い出さない方がいいですし・・・」


すると彼は目頭を抑えながら、何かを確認しているかのようにうんうんと頷く。


「そうか、たしかにそうだよな・・・その方がいいよな・・・。」

「だからこれから色々教えてください・・・えーと・・・。」

「なんだ俺の名前も忘れたのか?まあいい、俺の名前はダルトだ。」

「すみません、ダルトさんよろしくお願いします。」



















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