第6話:お布施
「さて、さっそくお布施についてお話ししましょうか?」
「お布施・・・ですか?」
「あなたはこの寺院で生き返りましたよね?誠意を見せてもらわないと。」
「・・・だから金を払えって事ですか?」
「そういう俗っぽい言い方はやめてもらいたい。お布施ですよ、お布施。」
(お寺のお布施みたいなものか。いつも何円払えばいいのかわからないんだよな。)
「まあ具体的には金貨10枚ですね。」
(普通に金額要求するのかよ・・・金貨10枚という事は、10ゴールドか?)
「復活したばかりのあなたには支払い能力がないのはわかっています。なので、こちらが立て替えますので定期的に返済お願いします。」
「え、いや・・・。」
「心配しなくても悪いようにはしません。まずはこちらの書類にサインをお願いします。」
こちらが答える間もなく、ペンを押し付けてくる相談員。
(おいおい、異世界転生していきなり借金背負わされるなんて冗談じゃないぞ。しかし、女神様からもらったたった50ゴールドがいきなり役に立つとはな思わなかった。)
俺は相手に見えないよう、収納異次元袋から不思議な袋を足元あたりに取り出すイメージをする。
ずっしりとした感触と共に足元に大きな袋が出現する。
(女神様は軽くもっていたが、思ってたより重い。まあ金貨50枚だとそこそこ重いか。)
チラリと中身を見ると金色の物が詰まっている。
(なんだこれは?この世界の金貨ってこんな形なのか?)
想像と違った形ではあったが世界の常識が違うのかも知れない。
「どうしたのですか?早くサインをして下さい。」
「待って下さい。ちゃんと払いますよ。」
「払う?代理で払う人がいるのですか?」
「いえ、今払いますよ。」
俺はそう言って、袋の中の四角くてゴツイ金貨をピラミッド型に積んでいく。
「金貨10枚。これで問題ないですよな?」
積んだものでほとんど見えなくなった相手の顔を覗き込んで確認する。
「・・・これは金貨ではないですね。」
「え、でもこれ金ですよね?」
「これは金塊ですね。本物なら一個で金貨100枚ぐらいの価値がありますよ。どこからこんな物を・・・。」
(やはりそうだよな。これが金貨なんておかしいとは思ってたよ。)
「でもこれで支払い出来るという事ですね?」
「残念ながら、お支払いは金貨でしかしておりませんので受け取れませんね。」
「では無理なんですか?」
「いえ、知り合いの商業組合の者を呼びますので鑑定してもらいます。お待ちください。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます