第3話:選択

「では誰を選びますか?」


(ゲームなら効率重視のキャラを選ぶべきだが、これはその人間としてこれから生きていく事になる。それなら重視すべきは・・・。)


「おれは侍の青年「セイシロウ」を選びます。」

「上級職の侍ですか?」

「ええ。能力や効率ではなく容姿で選びました。もちろん、他の人物も美青年や美少年、マッチョな男前など色々いましたが、東洋人の見た目はセイシロウだけです。やはり自分に近い容姿にしたいので・・・もちろん俺の元の容姿と違って男前ですが。」

「なるほど、素晴らしい選択です。」


女神様は手をパチパチと拍手をして俺の選択を称えた。

何かこういう所がうさんくさい。


「最後にチートアイテムの譲渡に移りましょう。」


するとまた虚空から何の装飾もない銀色の指輪を取り出してきた。

あの指輪がチートアイテムなのだろうか?


「この指輪を収納していた、収納異次元袋の能力を差し上げます。」


(指輪じゃなくてそっちかよ!)


「しかし、それはかなりのチート能力ですね。」

「そうでしょ?」


(はっきり言ってこれだけでも、異世界無双出来そうだな。)


「次はこの取り出した指輪。これは能力鑑定の指輪といって、自分と相手のレベルや能力の鑑定が出来る指輪なのです。」

「それは凄いですね。」


すると女神様はその指輪を突然遠くに投げた。

俺にはその意図がわからず困惑した。


「どういう事ですか?」

「すでにあなたには収納異次元袋の能力が宿っています。空間から物を取り出すイメージをしてください。」

「イメージ?」


突然の事だったが、とりあえずはイメージしてみると手に何かが触れた気がした。


「取り出すイメージが出来たら、私が投げた指輪を取り出してください。」

「さっきの指輪・・・これか?」


手の中を見ると、指輪が握られていた。


「これはいったい・・・。」

「その能力鑑定の指輪は貴方専用として作った指輪です。落としても、遠くへ投げつけようとも収納異次元袋の中に返ってきます。」

「なるほど。」

「ここまでは単なる支給品です。これからがチートアイテムの紹介になります。この中から一つ選んでもらいます。」


女神様はそう言って、ホワイトボードにデカデカと「チートアイテム紹介」の文字を書き出した。


(マジか・・・今までの能力とアイテムはすでにチートアイテムなんだが・・・。)


「まずは「貫通のナイフ」です。攻撃力は低いですが、守備力を無視してダメージを与えられます。」

「次は「幻影の鎧」です。魔力の鎧が体を包んであらゆる攻撃を半減させます。」

「最後は「煉獄の指輪」です。一日に一回だけ、上級魔法のデスファイアが使えます。」


(これはたしかにチートアイテムだ。上手く使えばレベリングも楽になるし、強敵とも戦えるかもしれない。)


「どれも素晴らしいアイテムですね。」

「そうでしょう。そうでしょう。」

「まったくとんでもないチートアイテムですよ。」

「そうでしょう。そうでしょう。」

「本当に過保護すぎるぐらいですよ。」

「そうでしょう。そうで・・・え?」


すると、今までご機嫌だった女神様の顔が曇りだした。













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