第2話:説明

「貴方は異世界に興味ありますか?」

「異世界・・・ですか?」

「実は私が管理している世界の一つが滅びの危機に瀕しているのです。」

「滅びの危機、それはとんでもないですね。」

「そのために世界を救う勇者が必要なのです。」


何かRPGゲームの冒頭みたいになってきた。


「つまり私に勇者となって滅ぶ運命の世界を救えと?」

「そうです。貴方は欲望・・・いえ愛を求める汚れなき魂の持ち主です。勇者としての素質は問題ありません。」


無理やり相手を褒めているようにしか思えない。

とはいえ、後悔ばかりの人生をやり直せるというのなら試してみたい気持ちはあった。


(しかし、そんな危険な世界に行ったらすぐ死にそうだ。何か特殊な力を得なけば割に合わないな。)


「女神様、お聞きしたいのですが、勇者として凄い能力とか授けて頂けるんですよね?」

「ふふ、それはこれから詳しく説明いたしますね。」


すると虚空からホワイトボードを持ってきて、ウキウキで説明準備にはいる女神様。

不安になってきた。


「まずあなたには元々そこにいた人物に転生していただきます。無理やり存在しない者を送ると世界に歪みが生じてバランスが崩れてしまいます。」

「そういうものなんですね。しかし、生きてる人間を乗っ取るという事ですか?それだと殺した事と同じでは?」

「大丈夫です。私が用意する人間は死んだ人間です。それを貴方として復活させます。」


すると凄まじい速さでホワイトボードに5人の写真を張り付け、その下に能力を記載する。


「この5人が貴方の体となる勇者候補です。姿と能力をよく見てお選び下さい。」


俺はまずは能力を吟味する。


「この属性というのはなんですか?」

「属性とはその人間の生き方みたいなものです。ざっくりと善・中立・悪に分けられてます。善は人の為に生きる、悪は自分の為に生きる、中立はその状況に対応して生きるって感じです。」


(なんか俺がしていた「ソーサラー」っていうゲームと同じ概念だな。)


「しかし全員中立ですが、これはどういう事ですか?」

「あなたの属性が中立だからです。それは肉体が変わっても同じです。」


(俺って中立だったんだ。でも状況に対応して生きれなかったよな・・・。)


次は能力の吟味だ。


「全員レベル5で、あまり強そうじゃないですが勇者としてやっていけるのでしょうか?」

「勇者というのは力がすべてではありません。強い精神力、人々からの信頼、その他あらゆるものが必要です。初めから強いとそれらは育ちません。だから序盤を乗り切る最低限の力(レベル)のみ与えます。」

「思ったより過酷そうですね。」

「大丈夫です。最後にチートアイテムを与えますので。」


(いや、それじゃ意味ないような・・・とはいえ出来るだけ楽したいから黙っていよう。)


「職業も色々あるんですね、戦士、盗賊、魔術師、癒術士・・・侍なんてのもあるんですね。」

「侍はおススメしません。上級職なので成長が他より遅いのです。専用武器の刀も手に入りづらいです。」


(ふむ、職業もだいたい俺のしていたゲームと一緒か。)


「では誰を選びますか?」














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