短編小説

俺には殺したい人がいた

第23巻

俺は人生で一番憎い人間がいた、その人間は昔のことを忘れてのうのうと生きている、俺はそれが許せなかった。だからいつも殺そうとした、だがやっぱり殺せなかった。何故俺はこんなにも優しいのだろうか、いや怖いのだろうか、成長するにつれ、理性が強くなり、人を殺すことがさらに難しくなった、さらには生物の営みすら理性に止められる仕舞いだ、もう俺はどうすればいい、だが今でもそいつは殺したいと思っている、もしそんな時は俺の理性が吹き飛び全てがどうでも良くなった時だろう、だがそんな世界になったら殺す必要はないか、この世は残酷だ、もし世界が次の日に終わると言われて、今まで殺したかった、ひとをころせるだろうか、どうせお互い死ぬのだからそいつを生かしてもいいと思ってしまう。俺は人を殺したかった、いや殺したい人がいた、俺には殺したい人がいた