第1話 憧れ

「あの日、黒い剣士に憧れた」

その剣士は黒く包まれて、コートと剣と全てが黒だった。

私がその剣士と出会ったのは、ゲームを始めて3日経った時だった。

私は初心者で、モンスターに挑んでは負けてを繰り返して、その度に挫けても何度も立ち上がった。

でも、その努力が報われることはなくただ時間が過ぎていくだけだった……。

「もう諦めようかな……」と弱音を吐いていた時、黒い剣士が現れるとモンスターを一網打尽にしてしまう。

私は彼に憧れた。彼は私よりも強く、誰よりも格好良い私のヒーローだった。

その剣捌きは黒き美しく、斬撃が彼の姿を包むように芸術だった。私もいつかあんな剣士になりたいと思った。

黒い剣士、ダークヒーローみたいな存在。

彼は私の憧れであり、目標となった。

「いつか私も、彼のような剣士になりたい」と強く願った。

しかし、ある日を境に黒い剣士は姿を消した……。

私は彼を探し続けたが、結局見つかることはなかった……。後に知ったのは彼は現実世界に帰ったとのことだった。

場所も名前も知らない全くの無名プレイヤーだったが、私は彼に憧れて強くなろうと心に誓った……。

そして今日も、私は黒い剣士を目指して冒険を続ける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る