第6-1話 瑛太のアパートで
「買って来たカップを洗おうよ。明日、学童に行ってからだと大変だから」
「そうですね。杏奈さんも手伝ってくれるんですか?」
「勿論よ」
「じゃぁ、お願いします」
「まずは二十個ずつにしようよ。割れても嫌だからさ」
「そうですね」
「タオルを二重にして敷いて洗ったらここに並べて乾かすの」
「拭かなくて良いんですか?」
「拭くとタオルのケバケバが付いて汚くなるから、飲み屋ではトーションって言う布で拭くんだけど無いでしょ? 今度、お店から貰って来て上げるから」
「ありがとうございます」
「あのさ、彼と彼女なんだからその『ありがとう』は良いけど、『ございます』は要らないんじゃないの?」
「そうですね」
「『そうだね』で良いんじゃないの?」
「そうだね」
「そう」
※ ※ ※
「杏奈さんのお陰で、百十二個もアッと言う間に洗えました。どうもありがとう」
「いいえ、どういたしまして」
「乾いたら仕舞おう」
「そうだね。では先ほど作ったチョコレートムースを試食しまようか?」
「そうね」
「乾杯!」
「乾杯!」
「うわ! 美味い!」
「良かったね。美味しくできて。明日は大成功だよね?」
「本当ですね」
「あぁ! 美味しかった」
「本当ですね。本もちゃんと美味しくできるようなレシピなんですね?」
「だってお金を払って買ってもらっているのに不味かったら本を買ったお客さんは怒るでしょ?」
「そうですよね」
「ムム、ムムム……。ダメよ、こんな所でキスしたら」
「人が居ない所だったら良いって言ったじゃない?」
「そうだけど……」
「えっ、こんな所で……」
「ダメですか? もう我慢できないから」
「そんなに乱暴に脱がさないで!」
「じゃぁ、こうやって脱がせばいいんですか?」
「そうよ。そんなに焦ったら女は引いちゃうから」
「杏奈さんだけを脱がしたら可愛そうなので、僕も脱ぎますから、ベッドに行って下さい」
「僕も脱ぎましたよ。やっぱり杏奈さんは綺麗だ」
「恥ずかしい……」
「僕がリードするから良いよね?」
「うん、あっ、あん」
「杏奈さんと出来て僕は感動した」
「アタシも瑛太さんに抱かれて嬉しかった」
「こうやって二人が一つになったんだから、お互いに『さん』付けをするのはやめませんか?」
「そうね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます